教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2013年12月

人に強くなる極意(青春出版社)



 受験の技術として,特に算数の問題などは,「解けそうにない問題,苦手にしている問題は後回しにする」というものがあります。

 限られた時間の中で,自分の力が最大限に反映された結果とするには,

 面白そう
 
 解きたい

 という問題でも,時間をかけてできないリスクを計算に入れて,

 解かないでおく

 という選択肢をとる必要があります。

 これを,受験までの勉強の方法に置き換えて考えてみるとどうでしょうか。

 好きな教科や分野をどんどんやって,苦手なものを後回しにしていいのでしょうか。

 時間の尺が変わると,判断の基準も変わってきます。

 今回紹介した本は,激変する社会に対応できる力をつけるための「極意」・・・というか,「基本的姿勢」を著者が説いてくれているものです。

 この本で印象に残っているのは,第8章「先送りしない」の二つ目の見出しである

>できる人は「仕事の遠近感」を持っている

 という言葉でした。

>仕事というのはつねに時間軸とセットで考えなければいけません。

 ・・・受験なんていうのは,ここでいう「仕事」にとても似ていますね。

 いつまでに何をどこまでするか。

 そのノウハウを一番よく分かっている塾が,そういうテキストを提供してくれます。

 そういう「お膳立て」がない子どもの場合は,自分で考えて進めるしかない。

 でも,そういう経験ができる子どもというのは,合格したとき,本当の意味での成功体験を収めることができる。

 あと1か月の学習予定を「見える化」して,まずはそのできに自分なりに満足すること。

 1週間ごとに微調整をして,大きな課題は「過去問を解く」ことに費やすこと。

 私の子どもが受験に成功できた最大の理由はこれだったと思います。

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成長から成熟へ~さよなら経済大国(集英社新書)



 受験産業とは,「成長」のメンタリティーを「保存」している「唯一の業界」ではないか,というのがこの本を読んだ最初の印象でした。

 志望校を選ぶ親御さんたちは,何を基準にして我が子の進学先を選んでいらっしゃるのでしょう。

 「とりあえず高い偏差値を出しているから,一番それが高いところを狙わせよう」

 という方も,少なくないと思います。

 子どもの「成長」のイメージが,迷いもなく描けるように仕組まれているのが,現在の受験産業かもしれません。

 こういう「成長」イメージは,多くの産業界では「過去のもの」となっています。

 グローバル化は成長のためというより,現状維持のためにやむを得ない選択肢になっているという業界もある。グローバル化によって息の根が止められかねない業界もある。

 実は「受験産業」というのは,グローバル化の波をかぶらないですんでいる産業という一面もあるんですね。

 国内にいる優秀な子どもを取り合って,競争させているだけですから。

 上の本は,受験産業の広告のことを取り上げようとして紹介したわけではなく,

 広告の「差別化」が目指している本当の意味を考えることにあります。

 ある殺虫剤のCFに対する著者の言葉が印象的です。

>なぜ,そこまでナンセンスに徹するのか。おそらくそれは,ありもしない商品の品質や性能をまことしやかに語ることこそナンセンスだと,川崎さんは思っていたからではないかと,ぼくは見ています。つまり,このCMは,差異化の袋小路で立ち往生している世の広告をせせら笑っていたようにも見えるし,広告の本来の目的を否定あるいは無視することで,広告のより次元の高いものにしていたとも言える。あるいは,広告が行き着く一つの終着点を率先して表現していたと言えるかもしれません。

 東大合格何人,という数字の意味を,今一度,考えてみるきっかけになるといいですね。


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地図と愉しむ東京歴史散歩・地形篇(中公新書)



 先日に訪れた旅行先の宿泊施設に,自治体が作成したハザードマップが掲示してあり,そこでは何となく

 「川沿いのところは揺れが大きくなるのだな」

 「平地はどこでも大きな被害が予想されているのだな」

 と何となくながめていたのですが,

 上の本の「はじめに」では,

>関東大震災では,高台の大半が震度五弱だったのに対して,低地の一部では震度七の揺れに襲われた。

 と記されてありました。

>震源との距離は同じでも,震度に著しい違いをもたらしたのは地質である。
  
 ・・・土地を購入するとき,一般の人はその土地の「地質」の説明まで受けることがあるでしょうか。

 
 東京を訪れたことがない方は分かりにくい話かもしれませんが,

 大縮尺の地図では「関東平野」の真ん中に位置する東京,それも23区のあたりなら,さぞかし「平らだろう」と思われてしまうかもしれません。

 しかし,小縮尺の地図で見ると,23区内は起伏に富んだ地形であることが分かります。

 「山の手」「下町」という言葉など,聞いたことがある方は多いと思います。

 紹介した本は,カラーの地図や写真が満載で,地理好き,地図好きにはたまらない1冊です。

 駿河台あたりは予備校があり,少し北には湯島天神もあって,受験にかかわる人には何かと縁がある場所ですが,JR御茶ノ水のあたりは,台地を二分する大工事によってできた谷であることも,地図を見ると納得できます。

 都心の「山」のお屋敷マップも圧巻です。

 東京の歴史を地形とセットで説明できるようになれば,「地理通」とも「歴史通」とも呼ばれて一石二鳥かもしれませんね。

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反教育論(講談社現代新書)


反教育論 猿の思考から超猿の思考へ (講談社現代新書)
泉谷閑示
講談社
2013-03-29


 この本に書かれていることは,かなり「耳の痛い」話ばかりです。

 受験を目前にしている子どもやその親にとって,今はこの本を読むタイミングではないかもしれません。

 しかし,あえて,こういう時期だからこそ読んでおく,という考え方ができるようになってしまう本でもあります。

 早期教育の危険性について,『風姿花伝』で有名が世阿弥が,『至花道』という別の秘伝書で説いていた内容が紹介されています。

 著者の言葉

>幼いうちから子供を「調教」的に教育することは,技能習得だけを考えれば効率的に思えるかもしれないが,本人の中から自然に生まれるはずの好奇心や主体性の芽が摘まれてしまい,のちにどんなに技術が向上しても,質的には主体性の欠如したものになってしまう危険性が高い。

 世阿弥の言いたかったこと

>そのように主体性のない芸を「無主風」と呼び,そのようなものは決して観客に感動を与えられる生きた芸ではない

 ピーター・ブルックという人が書いた「少年期に受けた教育」の話はもっと辛辣です。私は教師として,心してこのような「訴え」を聞かなければなりません。

>実のところ,大人の世界はがっかりするものばかりだった。教職というものは,ジャーナリズムや出版業界に就職できない大学卒業生の最後の選択肢だということがすぐにわかった。図画の教師は,生徒の目を委縮させ,手先を不自由にしたし,唱歌の教師は,生徒の声をつまらせた。地理の教師は世界を画一で無味乾燥にし,聖書の教師は驚嘆する心を閉ざし,体育の教師は体の動きを喜びではなく罰にした。


頭がよくなる思考術(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

頭がよくなる思考術
白取 春彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2005-10-14


 子どもが受験を目前にしている親御さんは,とかく自分を見失いがちです。

 「子どものため」とは言いながら,結局,期待しているはずの「子どもも見失ってしまう」。

 私は中学校の教師をしているのですが,「子どもを見失ってしまった」親御さんにはたくさん出会ってきました。

 荒れた中学生ほど,親にとっては自分を発見するチャンスを与えてくれます。

 荒れた中学生に荒れた態度で接して解決する問題などありません。

 それとは真逆のような位置にいるように思える中学受験を目前にした小学生。

 いったいどんな気持ちなんでしょう。本当に「真逆」なんでしょうか。

 こういうことを考えるのに厄介かもしれないのは,同じ経験を難なく突破してしまった親御さんです。

 そういう方にこそ,この本の一節をご紹介したい。
 
 「迷わない」頭をつくるための方法の一つ。

>自分を隣から眺めてみよ

>理性はわたしたちそれぞれに備わってはいるが,たぶん,わたしたち人間個人に属しているものではないだろう。なぜなら,理性の判断はどんなときでも誤ることなく,常に正しいからだ。


 理性はわたしたちに鋭い剣を突き出してくれる。

 むき出しの感情を突き刺してくれる。

 そういう理性と仲良くしている親の近くにいる子どもは幸せでしょうね。



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