教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2014年05月

子どもを育てるのに必要な「待つ力」~リンゴが教えてくれたこと(日経プレミアシリーズ)

リンゴが教えてくれたこと (日経ビジネス人文庫)
木村 秋則
日本経済新聞出版社
2013-06-04


 農薬でつくる果物とよばれるほど病害虫の多いリンゴを,完全無農薬・無肥料で栽培することに成功した木村さんの「待つ力」の由来はどこから来るのでしょう。

 自然なリンゴ栽培の難しさは,品種改良があまりに行われてきたため,原種から程遠いものになってしまったせいでもあるそうです。それは,米や野菜は無肥料,無農薬でも意外とスムーズに成功したことからもわかります。

 リンゴの木をリンゴの育ちやすい環境で育ててあげること,リンゴを主人公と考え,リンゴの生長の手伝いをする感覚で育てること。

 子育て,学校教育,受験指導,あらゆる「教育」にかかわる取り組みにおいて,大人が考えなければならないことは,子どもにとって,よりよく育つための環境は何か,今の環境は子どもにとってどうなのか,ということではないかと訴えかけられる本です。

 私は先日,自然農法の茶農家さんを2件ほど訪問させていただきました。

 両者とも,木村さんと同じようなことを口にされていました。

 茶はどのように育ちたいのか?

 人間の都合で,人間が育ってほしいと思うように育てられる農産物。

 人間を育てることと農産物を育てることはもちろん違うことですが,

 育てる側の都合で無理を強いている面があるという意味では同じでしょう。

 リンゴに限らず,農産物を育てるには「土が大事」というのは以前から知っていましたが,

 地下数十センチの世界の話はあまり聞いたことがありませんでした。

 そこに手を加えることは,人間でないとできない。

 教育も,大人でないとできないことがきっとあるはずです。

 スマホや携帯電話があまりにも子どもの生活と密接になってしまっているために,

 それを教育に利用することを真面目に考え始めている人たちがいます。

 便利なものを次々に活用することで,子どもたちは「満足度」の高い学習ができるかもしれませんが,

 本当に地中深く根を張り,養分を大地から吸収していく人間に育っていってくれるでしょうか。

 学校で農業のことを学ぶことの意義は,

 農業の知識や技術を手に入れるためではなく,

 人間の生き方を考えるきっかけになることです。

 一度,お子さん連れで農業を学ぶ旅に出かけませんか。

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心の折れない子どもを育てるために~戦国大名と読書(柏書房)

戦国大名と読書
小和田 哲男
柏書房
2014-01


 以前の授業で,『源氏物語と戦国武将』というテーマを扱ったことがありました。

 戦国武将たちは,中国の古典から様々な戦略を学ぶ一方,当時とても流行していた連歌を楽しむために,『源氏物語』にも詳しかったという話をしました。

 この本の「おわりに」で,著者は次のように述べています。

>戦国時代のことを研究していると,時々,戦国武将たちの強さはどこからくるのか考えることがある。強さといっても,合戦での強さとか腕力といったものではなく,精神力の強さである。

 完膚なきまでに負け,絶望的な状況に追い込まれても決してあきらめない,その精神力の強さはどこからくるものなのだろうか。すぐにあきらめたり,壁にぶち当たったりすると落ち込んでしまう現代人とは大きな違いがある。それは,おそらく,子どもの頃に読んだ書物の違いであろう。


 戦国武将の場合には,多くの家臣を統率するリーダーとしての資質が必要で,それが育まれたのは少年時代の読書にあった・・・・。

 そっくりそのまま,現代にも生かせる話ではないですか。

 ただ読むだけでなく,読んで身につけた教養をもとにした遊びとしての「連歌」がありました。

 企業人になって,「教養」を試されるときほど冷や汗をかくものはありませんが,

 子どもにもそういう「教養のないことの恥ずかしさ」をわかってもらえるような社会になるといいですね。

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セブン‐イレブンだけがなぜ勝ち続けるのか?(日経ビジネス人文庫)



 創業時のメンバーがアメリカのセブン‐イレブンと提携してライセンス供与とノウハウの提供を受けることになって,現地で研修に参加したとき,初日から「失敗した」と後悔したという話は,いろんな本に掲載されています。

>そのままでは日本には持ち込めない

 「勝てない人」のパターンには,次の両極があります。

1 期待どおりでないことがわかると,すぐにあきらめる

2 自分には合っていないと思っても,無理にあわせようとする

 受験の場合に多いのは,2番の方でしょうね。

 有名な塾のテキストだから・・・・

 これを使って,去年までの子どもは合格を勝ち取ってきたのだから・・・・

 それが自分の子どもの成功に結びつく理由にはならないことに気付けない親も多いのでしょう。

 親は子どもに期待をかけてあげるのはもちろんよいことですが,

 最も冷静に現実を見つめる役割を担うべきなのも親です。

 「どうしたら,この子に合ったかたちの勉強になるのか」

 ・・・・何も考えずに,塾の言いなりになっていればよい,とすすめる人もいるでしょう。

 でも,そうやって育った子どもが,どういう人間になっていくか,想像はできますか?

 私は教師という立場上,本当に嫌というほどそういう親と気の毒な子どもに出会ってきました。

 塾も,本来はコンビニのように,進化すべきなのです。

 しかし,経費のほとんどが人件費である教育産業の痛いところは,

 人材の「品質管理」ができないということで,下手に工夫させて失敗すると,

 それだけで顧客が去っていく原因になってしまう。

 「いい先生」がたくさん生まれるのも困る。人件費が高騰したり,

 ヘッドハンティングされたりする。

 結果はどうでも,とにかく同じ質のサービスを提供すること,顧客を増やして,

 「合格実績を向上させる」ことばかりにどうしても目がいってしまう。

 受験料を負担して顧客に学校をたくさん受験させ,合格数を「水増し」していたところもありましたね。

 最も悲惨な状況になっている子どもというのは,学校に進学してきても

 「お客さん」で居続ける人間ですね。

 こういう子どもは,きっと会社に入っても「お客さん」のままで,

 福利厚生の話だけを真剣に聞くような「社員」になってしまうのでしょう。

 受験では,子どもにいかに「受け身にならない癖」をつけるかが大事だと思います。

 この本には,「受け身では勝ち残れない」という趣旨のエピソードがたくさん書かれています。

 中学から大学まで,受験で勝ち続けるための知恵を,コンビニから学びましょう。

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受験の予想問題づくりにチャレンジ~乱読のセレンディピティ(扶桑社)

乱読のセレンディピティ
外山 滋比古
扶桑社
2014-04-01


 外山先生の「職業教師としての敗北宣言」が読めるめずらしい一冊ですが,それはさておき,

 比較的短い文章が集められているこの本では,「入試問題用」の素材候補がいくつかあります。

 私は社会科の教師ですから,国語の先生がつくりたいと考える問題の素材とはちょっと違うものに目がいってしまいますが,親子でこの文章を読みながら,「問題づくりの方法」を考えたり,「入試問題向きの文章」を探したり,ちょっと難しい言葉の意味を考えたりすることが,単なる入試対策ではなくて,「読書とは何か」を考える,学校用語で言う「生き方指導」を実践することができるかもしれません。

 「日本語は論理的ではない?」

 の一節では,日本語の島国的性格と,他国と隣り合っている国の言語の違いが説明されています。

 これを100字程度でまとめなさい,なんて問題が考えられますが,

 「点的な言語」「線状の言語」の違いを説明せよ,なんて課題も考えられます。

 国語の問題というのは,作者の考え以外のものを書くと×になるのですが,

 今後は,「文章には書かれていない,自分の考えを述べなさい」なんていう問題を出題してくる学校が増えるかもしれません
 
 それには,やはり,一定の読書量が必要です。

 「ことばの非連続の連続」というタイトルで,短いエッセイを書きなさい,なんて問題も・・・?

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コンビニ開店40周年~変わる力~セブン-イレブン式思考法(朝日新書)



 日本初のコンビニチェーンは,社内の猛反対を押しきって新会社形式でスタートしたことをご存じでしょうか。

 イトーヨーカドーから転籍してくれた社員は数名ほどで,あとは新聞広告で人を集め,元航空自衛隊員など,ほとんどが小売業経験ゼロの素人集団だったそうです。

 アメリカの研修では,経営ノウハウまでは教えてくれなかったそうで,あとは実地で学んでいくのみ。

 「小型店と大型店の共存共栄」「既存小売店の活性化」が創業目的であったセブンイレブンは,現在でも酒屋さんを廃業してスタートする店舗があります。
  
 1974年5月15日に日本初の本格的コンビニが豊洲にオープン。
  
 最初の客は男性で,800円のサングラスを購入したとのこと。

 まもなく40周年になるのですね。 

 成長を続けるコンビニ店,まだその進化は続くのでしょうか。

 時代のニーズに合ったものを提供していくというスタンスが,その成長を支えてきたのだということがよくわかります。

>人間,少しでも何か成功すると,すぐに「あれがターニングポイントになった」「ああ動いたから,成功した」などと,過去を振り返り,満足してしまう習性があるように思います。私は,それでいいとは思いません。

 ターニングポイントは,常にある―そう考えていれば,仕事というものが挑戦の積み重ねの上に成り立っていると理解でき,自分の判断軸はブレません。これからも挑戦あるのみです。


  海外でも成長している「日本型コンビニ」の進化の背景にあるものを,

 ほかの仕事に従事している私たちも学んでいきたいものです。

 とりあえずの私の仕事の目標は,中学校の社会科という教科の学習を,

 現実の「社会」の話になるべく近づけていくことです。

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 資料 セブンイレブンの沿革(抜粋)

1973(昭和48)年 11月  (株)ヨークセブン設立

1974(昭和49)年  5月  第1号店出店(東京都江東区・豊洲店)

1975(昭和50)年  6月  24時間営業開始(福島県郡山市・虎丸店)

1978(昭和53)年  1月  社名を(株)セブン-イレブン・ジャパンに改称

1980(昭和55)年 11月  出店数1000店舗突破

1982(昭和57)年 10月  POS(販売時点情報管理)システム開始

1987(昭和62)年 10月  東京電力料金収納業務取り扱い開始

1989(平成元)年  11月  プリペイドカード取り扱い開始

1993(平成 5)年  2月  出店数5000店舗突破

2001(平成13)年  4月  (株)アイワイバンク銀行(現セブン銀行)設立
              5月  ATM設置開始

2002(平成14)年 11月  マルチコピー機を活用したチケットサービス等の取り扱い開始

2003(平成15)年  8月  出店数1万店突破

2004(平成16)年  1月  合弁会社セブン-イレブン北京有限公司設立

2007(平成19)年  3月  小売業として世界最大のチェーン店舗数を達成
              4月  独自の電子マネーnanacoの導入開始
              8月  セブンプレミアムを販売開始
             10月  カウンター調理(フライヤー)商品の販売開始

2010(平成22)年 12月  世界の出店数が4万店舗を突破

2011(平成23)年  5月  お買い物支援向け移動販売「セブンあんしんお届け便」開始

2012(平成24)年  1月  チェーン全店売上高3兆円を突破

2013(平成25)年  2月  出店数1万5000店舗突破


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