教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2014年09月

目先の利益のワナから子どもを救おう!~誰もがハマる52の思考の落とし穴(サンマーク出版)

なぜ、間違えたのか?
ロルフ・ドベリ
サンマーク出版
2013-09-10


 誤った判断をしてしまう原因の多くが,この本で紹介されています。

 人間は,自分に都合のいいような解釈をしがちである,

 という教訓一つでも十分なような気がしますが,

 「思考の落とし穴」の知識を逆に応用すると,

 「得難い成功」を手にすることができるようになるかもしれません。

 「失敗しないようにしよう」という観点ではなく,

 「どうにか成功を手に入れてやろう」という姿勢で読むことをお薦めします。

 もちろん,「他人を陥れて,自分が得をする」という発想はなしです。

 わざわざことわるのは,

 そうすることができる「知識」も習得できてしまうかもしれないから。

 さて,目先の利益のワナとは,簡単なものです。

 よく例に出されるのは,

 1年後に10万円もらうのと,1年1か月後に11万円をもらうのでは,どちらを選ぶか。

 今日,10万円もらうのと,1か月後に11万円をもらうのとでは,どちらを選ぶか。

 これだけきれいに並べて書いてしまうと,論理的な思考がしっかりとはたらいて,

 両方とも11万円をもらう方を選ぶかもしれませんが,

 後者の方で10万円をもらう方を選択してしまう人は多いでしょう。

 そういう人は,今,成功している人でしょうか。

 教育の世界で知っておいてよい知識は,こういう状況に子どもをおいたとき,

 目先の欲望に負けずに,「我慢できる」能力がある子どもは,

 職業についたときに成功しやすいということです。

 衝動を抑える力を強くすることよりも,

 衝動自体を与え続けて,我慢できない子どもを育てていませんか。

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教育議論の「不毛性」~教育の力(講談社現代新書)

教育の力 (講談社現代新書)
苫野 一徳
講談社
2014-03-19


 教育論議の不毛な対立を防ぐ「原理」を教えてくれましたが,

 現場にいる教師たちが,なぜ教育学者を頼りにしないのかというと,

 それはただ相手が「現場にいない」からだと言ってさしつかえないでしょう。

 現場で起こっている様々な問題への解決策を,

 教育学者というのは「きれいな言葉」で提示してくれます。

 しかし,現場の実態というのは,そんな言葉でどうにか動かせるほど単純ではありません。

 AとBという全く異なる方針が,

 CではAがうまくいき,DではBがうまくいく,ということが平気で起こります。

 しかし,少し状況が変化したCでは,もはやAではかえって悪化する一方で,

 Bでも救いようがなくなる,なんてことも,次々に起こります。

 何か物事を一般化,抽象化して,

 「こんな原則で・・・」などと表現したら,現場では一巻の終わりです。

 次のようなご指導をいただくことに,どのような「意味」があるのでしょう。

>教育の方法は,目的と状況に応じて柔軟に選択・創造すればいい

 これでは,何も聞かなかったのと同じです。

 教育学者の存在意義はどこにあるのでしょう。

 この本を読んで,ますますそれがわからなくなりました。


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日本は手本とする国を間違えた?~考えるとはどういうことか(集英社インターナショナル)



 ドイツとイギリスの教育の違いが,第一次世界大戦の勝敗を決めた・・・・

 などという分析をしている歴史科がいるかどうかは知りませんが,

 著者なりの解釈は参考になります。

 「経験は最良の教師である」(トーマス・カーライル)・・・・

 イギリスでは,通学による教育では,経験の幅が広がらず,知識を学ぶだけに

 なってしまうという考え方から,全寮制のパブリックスクールが作られました。

 イギリスでいう「ジェントルマン」とは,パブリックスクールの出身者のことだそうです。

 子どもを甘やかしがちな家庭が,「経験の場としてはふさわしくない」と考えたイギリスは,

 苦労も多い中で人間を作り上げていく環境を用意したわけです。

 魔法使いの学校のように,命の危険にさらされることはないでしょうが,

 第一次世界大戦のとき,パブリックスクールで育った人々の多くが年齢を偽ってまで

 軍役志願し,最前線で戦って命を失ったことは,それぞれ知識階級を何の役にも立たない

 人間だと思っていた人々の考えを一転させたようです。

 ドイツでは,このような教育に批判的だったといいます。

 とにかく知識中心で,研究室に閉じこもって勉強していれば優秀な人材になれる,

 と考えられていました。

 ドイツが「なぜあのように勉強しない国に負けたのか」とイギリスを研究した結果,

 その結論は「イギリスの強さは寮生活での経験にある」というものだったそうです。

 日本もドイツと同じように戦争に負けたのは,

 イギリスではなくドイツをモデルとした国家づくりをしたからだ,とまではもちろん言えません。

 これから,日本にもイギリスと同じような全寮制の学校を増やすべきだ,と主張する

 つもりもありません。

 ひとつだけ言えるのは,日本の学校というのは,

 放課後も部活動などでかなりの時間,学校で過ごすことが多いのです。

 体験的な活動も,カリキュラムで保障されています。

 ですから,知識の習得を第一にするカリキュラムを組んでいたとしても,

 日本の学校にはカリキュラム外で学べるメニューが多いことに誇りをもってよいのではないか,

 と思います。

 「日本の強さは,学校生活全般の経験にある」

 と胸をはれる指導者に登場してもらいたいものです。

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人のやりたがらないことを~思考力(さくら舎)

思考力
外山 滋比古
さくら舎
2013-08-05


 だれもやりたがらないから,おもしろい・・・・

 もし自分の子どもがそんなことを言い出したとき,

 手放しで「すごい子だ!」と喜べる親はそれほど多くはないのでは?

 それこそ「親力」「人間力」が試される状況になると思います。

 「利己的な人間はだめだ。利他的な行動をとれ」

 などと「道徳的正解」は口にしても,いざ,本当に自分を犠牲にしているかのような

 利他的行動ばかりを目にすると,「それくらいにしておけ」と言いたくなるでしょう。

 しかし,子どもによっては,「利他的」=心理的には「利己的」 である場合があることを

 忘れてはなりません。

 「人がやりたがらないことに,自分は本当のやりがいを感じる」

 というよく言えば「反骨」,悪く言えば「ひねくれもの」なのかもしれないのです。

 外山滋比古は,学部長とか学会の会長の職を避けた「利己的」な人です。

 大学や学会の世界では,こういう名誉職に自分からつこうとする人間は

 とても軽蔑されています。

 しかし,他人から推されて「それでも嫌だ」と言える人は少数派でしょう。

 「自分がやりたいことができなくなる」「自分が嫌な仕事だから嫌だ」というのは

 「利己的」な反応です。

 でも,その人が本当に「利己的」と言えるかどうかは,

 やりとげた仕事を見なければわかりません。

 「利他的に見える利己的な行動」

 「利己的に見える利他的な行動」の違いがしっかりと

 見極められる人間になりたいものです。

 そういう人間になろうとする人に,お薦めの本です。 

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英語を話す前に,まずは読もう~「知」の読書術(集英社)



 日本の英語教育が,「亡国への近道をたどる手段」になっている,という危険性を感じている人は少なくないのではないでしょうか。

 いつも言われるのが,「何年間も学んでも,ろくに話せるようにならない」という批判です。

 しかし,私も10年以上,英語を学びましたが,話せないと仕事にならない,

 という経験をしたことは一度もありません。

 そのかわりに,「英語を学んでいてよかった」と思うことはたくさんあります。

 挙げればきりがないですが,一番は「論理的な思考がどういうものかを知ることができた」というものです。

 論理的な文章を書くのはなかなか難しいのですが,どういう文章が読みやすく,

 どういう文章が読みにくいのかは読めばわかります。

 それがなぜかが,英語を学ぶとよくわかります。

 数学嫌いの人が,「数学なんて実生活では役に立たない」と言いますが,きっと英語も同じだし,

 社会や理科も,似たようなところがあるでしょう。

 しかし,「相手は,何を伝えようとしているのか」「その記号や式は,何を表しているのか」

 という興味や関心を教えてくれているはずです。

 話が本来ここで紹介したいこととはずれていますが,

 要は,「話す英語」より「読む英語」の方を重視すべし,というのが私の考えであり,

 上の著者の考えでもあります。

>私たち日本人に必要な英語力とは,決して「旅行英会話」のようなものではなく,教養と結びついた英語でなくてはいけない。そうでないと,グローバリゼーションの荒波には対抗できないからです。(150頁)

>「学校英語は役に立たない」という批判がありますが,それは大きな誤解であり,むしろ学校英語を十二分に消化できていないところに英語力が伸びない原因があります。(139頁)


 英語力向上への秘訣は,読書習慣の確立である,というのが私の考えです。

 「知」の読書術・・・・この本のエッセンスは,受験勉強のあり方にも示唆を与えてくれています。

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