以前にこの本を取り上げているが,今日の話題はオーストラリアの研究チームが発表した内容で,NEWS PICKSで「学校の成績は,知能ではなく性格で決まる(研究結果)」というタイトルで紹介されているものである。ここには研究結果の概要へのリンクも貼られている。
日本の教師たちが思わず納得してしまうのは,成績が上がるのは「勤勉性」の高い生徒である,というもの。
知能指数と成績には,高い相関が認められない場合が多い。その原因を探っていくとなるほどと思い当たるのが,
知能指数は高くても,努力を怠る生徒と,知能指数は高くなくても,努力をよくする生徒の存在である。
もう一つ,成績向上の重要な因子として,「明るさ,開放性」があるという。
「明るく,好奇心が高くて勤勉」な生徒を育成することが,学力向上の近道である,という仮説を示唆してくれる研究結果である。
さて,問題はここからである。
「勤勉性」は教育できるか,という問題である。
実は,日本の教育システム全体が,高い「勤勉性」の維持を担ってきたことは否定することが難しい事実だろう。
教室掃除を行うのにわざわざ着替えをさせていた私の初任校は,地域の中でも特に学力の高い学校だった。
「明るさや開放性」こそ遺伝による資質が左右するように思われがちだが,
「話が上手で面白い先生の授業」がたくさん受けられる生徒は,学習時間なのによく笑い,発言し,「もっと興味深い,刺激のある内容」を教師に期待するようになる。
「お笑い大好き」の子どもの方が,冗談が通じない子どもよりも学力が伸びやすい気がしないでもない。
このような研究成果が,どんどん集まると,日本の教師も俄然,やる気がでるかもしれない。
自分たちが提供してきた教育全体が,学力向上への道を用意してあげていたのだ。
だれか,日本の教育社会学者,教育心理学者などが,「生徒が授業で笑った回数」の総合計と全国学力調査の結果との相関を調べてもらえないだろうか。
人気があり,かつ成績をよく伸ばせている予備校教師の授業は,内容を教えている時間よりも無駄話で盛り上がっている時間の方を重視していたりするのではないか。
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