教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2015年03月

公務員への鉄槌~人生の極意(扶桑社新書)

人生の極意 (扶桑社新書)
佐藤 優
扶桑社
2015-03-02


 質問者のレベルなり,立場になって答えてくれる人はありがたい。

 「本気になって叱ってくれる人」が少なくなっている昨今,

 佐藤優の言葉で目が覚めてくれたかどうか。

 ある団体職員からの「官僚バッシングへの批判」に対しては,
 
 厳しい言葉が待っていた。

>正気に戻れ

>官僚はあなたのことを「特殊法人に勤めているのは,国家公務員試験に合格しない偏差値の低い糞の類いだ」と思っています。官僚の無駄遣いを擁護する発言をしていることを「ああいう馬鹿がいるから,俺たちはいつまでも安泰だ」とせせら笑っています。


 とは何とも辛辣な言葉。

>匿名希望さんは自分を官僚の仲間と思っているようですが,官僚のほうはあなたのことなど「風呂の中の屁」くらいの存在としか思っていません。
 
 もちろん,丁寧な処方箋を用意してくれています。

 それは,「太平洋戦争で負け戦を指導したエリート軍事官僚の回想録」。

 実は,教員養成の世界でも,この官僚と似たような発想で指導している大学教員がいて困っています。

 相談する側ではなく,相談される側であることで,だれも救われないというドツボにはまっている状態。

 どうやったら,こういう「公務員」を目覚めさせることができるのか,教育現場としては頭を悩ませています。

 匿名希望さんは,よい経験をされたはずですが・・・。


 にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へにほんブログ村 受験ブログへにほんブログ村 受験ブログ 受験生の親へ

資本主義×ナショナリズム×宗教(週刊東洋経済)



 世界史という「教科」としての学習ではなく,「~から見る世界史」とか,「世界史から学ぶ~」というテーマ学習の方が,興味も関心も高まるし,「世界」の動きがわかるようになる・・・という気はしても,なかなかよい題材に高校生は巡り会えない。

 今,社会人の間では,「世界史」がブームになろうとしているように思える。

 「日本史」は,根強い人気を博しているが,すでに社会の一線の活動から離れた「愛好家」による趣味としての学びという傾向の方が強いような気がする。 

 雑誌「週刊東洋経済」は,高校生が読んでも参考になる「世界史の資料集」としての価値があるように思える。

 特集の中でも光っているのは,佐藤優の『世界史の極意』である。

 同名の新書(NHK出版新書)も出ているが,重要なポイントがつかめるのがこの雑誌の特集である。

 国際情勢を動かすエンジンとなっている,資本主義とナショナリズム,宗教という「3要素」のバランスが崩れると,戦争の時代になる,という論理を理解するための図がある。

 資本主義とナショナリズムの関係は,資本主義によって生まれる貧困や格差などに対処するために,国家がナショナリズムを強化し,民族の同胞意識を背景とした所得の再分配政策によって国民を豊かにし,グローバル化の進行を押し戻す力を発揮する,というもの。一方で,国家は他国民からの搾取と収奪によって,自国民を豊かにするという帝国主義政策もとることができる。

 資本主義と宗教の共通点は,経済原理や信仰心を基に,国家や民族に関係なく,グローバルに広がっていこうとする力をもつことである。

 ナショナリズムは宗教を,宗教(キリスト教とイスラム教)はナショナリズムを抑制する力をもつ。

 宗教は,西洋合理主義の限界への対案に位置し,資本主義にも牽制力をもっている。

 大学入試問題としては,次のようなものが考えられる。

 第一次世界大戦について,資本主義・ナショナリズム・宗教の3要素のバランスがどのように変化したことがその原因になったと考えることができるか,400字以内で述べよ。

 にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へにほんブログ村 受験ブログへにほんブログ村 受験ブログ 受験生の親へ

苦言を呈したいのは本のタイトル~池上彰のこれが「世界のルール」だ!(文藝春秋)



 久しぶりに,苦言を呈したい本に出会ってしまいました。

 本のタイトルと内容の乖離の程度が一線を越えてしまっています。

 新聞や雑誌,テレビで世界の動きをわかりやすく解説してくれる池上彰さんの本なのですが,

 「世界のルール」という切り口から,どのような知見を提供してくれるのかと思いきや・・・

 この本は,「そこからですか!?」というタイトルの「週刊文春」の連載コラムを再構成(加筆等もあり)したもので,もともとの内容は,初歩的なことから世界の動きを解説していくものでした。

 目次を見た瞬間から「あれ?」と思ったのですが,そもそも「ルール」と呼ぶにそぐわないものもあるし,その中に無理に分類されている項目についても・・・。

 もちろん,世界の動きと堂々と向き合う姿勢を整えるための知識と技能を教えてくれていることに間違いはありません。

 池上彰ブランドは,朝日新聞の例の件でますます高まっていますが,本のタイトルについては単なる客寄せにならないような配慮を,出版社にはお願いしたいところです。 

 実は,上の画像には写っていない帯に示された文章は,きちんと的を射たコピーが並んでいるのです。

>日本とあなたを守り鍛える情報の数々!

>平和は終わった!「イスラム国」からピケティ「資本」まで 大困難な時代に必要な50の知識

 本は売ることが大切だとは思うのですが,残念ながら,だまされた感ばかりが強く残った1冊でした。

 なぜこのことを記事にしたかというと・・・・

 教育現場で起こっている一面を紹介しようとしたのですが,今日のところはやめにしておきます。

 
 にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へにほんブログ村 受験ブログへにほんブログ村 受験ブログ 受験生の親へ

「学校の優等生」が悪口である国~授業づくりエンタテイメント!(学事出版)



 どうにも表紙が気になって買いにくい本でしたが,「特別対談」は読み応えがありました。

 学校や教師,子どものことをわかったつもりになって教育を語っている人は多いですが,私のように子どものときから割と冷めた目で教師を見ていたり,教師の立場でやはり冷めた目で教師たちや子どもたち,親たちを見てきた側からすると,「何だかわかっていない人が多いな」という印象をもつことが多くあります。

 大学の先生が書いているこのような本でも,現場にたくさん足を踏み入れて,授業をいっぱい見てきたとは言いつつも,大事なところはほとんどわかっていない・・・特に,勉強ができない子どものことはほとんど考慮されていないものがほとんどでした。

 巻末の「特別対談」を読むと,現場がよくわかっている人が書いていることがわかりました。

 宇野常寛という評論家の刺激的な言葉に,著者が少々手を焼いている様子がそのまま掲載されているのも好感がもてます。

>「学校なんてクソゲーに費やしていられるか」という人がいっぱい出た時に・・・・

 一つは「動画教育」がありますよね。つまり北海道にいても沖縄にいても,東京の一流の先生の面白い授業を受けられるという。予備校でよくやっているサテライト授業ですね。それで,ある種の試験をパスすると単位が認められる仕組みがあればいい。

>僕は基本的に「こんな時代だからこそ家族の絆を」と言う意見には反対なんですよ。だって,人間にとって何が一番不幸かというと,ダメな親にあたることなんですよね。だってこればかりは自分の努力では絶対にキャンセルできない。だから僕は社会が「機会の平等」を掲げるのなら,・・・・

>生徒たちは教師である自分に酔った学校の先生の語り口にはウンザリしがちだけど高い技術を持っている先生の内面には自然と興味を持ち,結果的に人間的な部分も学んでいくと思うんですね。


  こうしたコメントに対して,どう切り返すことができるかを,教員採用試験の問題としてみたらいかがでしょう。

 にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へにほんブログ村 受験ブログへにほんブログ村 受験ブログ 受験生の親へ

日本人が日本人を憎むという仮説~日本戦後史論(徳間書店)



 「戦後史論」というタイトルですが,「戊辰戦争」から「敗戦」にいたるまでの経緯に関して,あまり耳にしたことがなかった「仮説」を内田樹が語っている部分があります。

 「日本人が日本人を憎む」の主語にあたる「日本人」には,「東北の人々」,「旧賊軍の陸軍軍人」などがあてはまり,目的語にあたる「日本人」には,「天皇」,「薩長藩閥」があてはまります。

 「こんな日本は滅んでもいい」と考えていた人々が,本当にいたのでしょうか。

 過激な仮説ですから,まともに検証しようとする人がいないことを見込んでの発言でしょうが,内田樹自身のご先祖に東北出身の方がいるということですから,少々気にはなります。

 また,ただの能力主義より,コネを重視した採用の方が,問題の発生を抑止できるなんていう地方の教育現場の理屈にも通ずるところがあり,軽く読み飛ばすことができませんでした。一部を引用します。

>・・・人間関係のしがらみで作られた統治システムには,それゆえの節度がある。人間を知っているとか,こいつには頭が上がらないとか,こいつは絶対信頼できるとか,そういうパーソナルで情緒的な要素で統治機構の中に入り込んでいる。人間的つながりに基づいた組織はイデオロギー的に暴走するということはない。超越的な天皇像を掲げる軍人たちが薩摩藩閥の海軍からは出てこないで,受験秀才であれば出世できた陸軍に出てきたのは,そのせいじゃないかと思うんです。表層的には天皇制イデオロギーが過激化したものと見られますけれど,無意識的な層には戊辰戦争・明治維新以後の近代日本の統治システム全体を否定しようとする暗いルサンチマンがあったのではないか。

 旧幕府の怨霊が日本を滅ぼしかけたのが先の大戦であったという仮説は,成り立つのでしょうか。

 ゴジラが「日本人の罪責感と自己処罰の欲動を形象化したもの」というとらえ方は,納得がいきます。

 にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へにほんブログ村 受験ブログへにほんブログ村 受験ブログ 受験生の親へ
最新コメント
アクセスカウンター

    受験ブログ
    livedoor 天気
    「livedoor 天気」は提供を終了しました。