マイナンバーの特集ですが,注目したのは佐藤優のコラムです。
「日本のロシア外交は念力主義で戦略なし」
・・・・念力主義という言葉は,日本の歴史を知っている人・・・・中学校の歴史の教科書くらいの本を読んだことがある人(ということはすべての人という意味になりますが)なら,「ああ,あのことか」という事例がいくつか思い浮かぶのではないでしょうか。
代表的なものは「モンゴル襲来」ですかね。「念力によって大風を吹かせ,元軍を撃退した」ことによって恩賞を授けられた人々がいたわけです。
次に思い浮かぶのは日米開戦を選択した人々でしょうか。もちろんこちらには,開戦を防ぐために努力した人々がいたことを忘れてはならないのですが,
「日本を存続させることが最も大事」というだれも反論できない信念から,
「そのためには~しかない」という論理的なつながりがない結論にジャンプしてしまった事実には変わりはありません。
「四島を返還してもらうことが最も大事」という信念の次が,
「プーチンとの首脳会談を絶対に実現させる」では,切り捨てられるものの多さを考慮していないのではないか,と疑われても仕方がない。
「願い」は共有されています。
しかし,「願えば叶う」というフレーズは,勇気をもたせてくれる言葉ではあっても,本当にそうなるとは限らない。当たり前のことですが。
やる気をもつことは大事だけど,必ず「どうすれば願いが叶うのか」「願いを叶えるためには何をどうやって進めていったらいいのか」という「戦略」が必要になります。
その「願うこと」「信じること」は「戦略」ではない。
今,アメリカが警戒しているイランとロシアの動きを,ある国に対する働きかけを示しながら説明しなさい,と問われたら,何と答えますか。
なぜ日ロが接近することをアメリカが警戒しているのか。
米中の力関係がどうなっているのか。
国際情勢をわかりやすく説明してくれたおかげで,
本当に世界の動きをわかった上での外交を日本はやっているのか?
という疑問が浮かんできます。
国民が国際情勢を知らないうちは,そのような批判を受けることはないのです。
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