教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2015年12月

問題解決学習の限界~仕事の9割は数学思考でうまくいく



>散在する情報の中から重要なものをピックアップし,

 これを起点として自分で筋道を立て,成功を目指すことが必要です。

 
 著者が強調しているポイントは,

>まずは,答えを出すことではなく,冷静に情報を受け入れ,整理することから習慣化してみる

 ということ。

>仕事ができる人は,上司からなぜこの仕事を頼まれたのか,「意図」を考え,そのうえで「条件」を把握し,できることを考えます。そのなかで,よりよい整理法を見つけたり,管理法を見つけたりして,それを「提案」します。

 小学校などで「問題解決学習」を経験するのは悪いこととは思いませんが,

 小学生段階では,まず教師の「意図」は理解できないでしょうし,

 与えられた課題の「条件」を把握するための知識や経験はありません。

 中学受験を経験しない限り,何がよい解決方法かを判断するほどの知識もない。

 「知識の注入」「知識偏重」「学習が主体的でない」という批判を避けるために,

 「それらしい」方法の1つとして問題解決型の学習をためしてみる人は多いでしょうが,

 「やってみて限界や課題に気づく」というレベルでは,

 本書で繰り返し述べられている「数学思考」は使えていないということになります。

 『学び合い』のように,わざわざ何人も集まって教科書を使って答え探しをしているようでは,

 学力向上など望めません。

 失敗してから気づくのでは遅いのです。


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道徳は嘘つきを育てる?~新しい道徳



 行政で3年間働いていた経験からか,教育施策への批判に対する「正しい見解」というか「教科書的な答え」を考える癖がついているのですが,

 さすがに「道徳」の授業やその教科化への批判となると,「嘘をつこうとしている自分」に耐えきれなくなります。

>「いちばんうれしかったことを書きなさい」っていうのもあって,笑ってしまった。

 小学一年生に,いちばんうれしかったこともないだろう。そういうのは歳をとって,昔をふり返って,「ああ,あの頃がいちばんいい時代だったな」と思い出すものだ。(中略)

 いやそれは,子どもに限った話じゃない。映画監督の黒澤明さんが「あなたの最高傑作は?」と質問されて,「次の作品だ」と答えたっていう有名な話があるけれど,昔をふり返って過去の栄光にひたるのは,要するに年寄りの発想なのだ。そういう発想をする奴が道徳の教科書を書いているわけだ。


 全くその通りです。

 「ふり返り」は,学習指導でも生活指導でも,学校教育で子どもたちに必ず行わせるルーティンの1つですが,「面倒くさがる」子どもが少なくありません。

 学習の場合は,「ふり返り」ができる子とできない子で学力の格差が開いていくのは当然です。

 生活の場合は,問題を起こしたときに,「反省文」などを書かされるイメージです。

 数々の「道徳の授業」を通して,子どもたちは

 「どうしたら大人(先生)が喜ぶか」を学んでいくようなものなのです。

 「いちばんうれしかったこと」として,

 本心で思ってる「おやじが失踪したこと」などは決して答えられない。

 「先生が喜ぶ回答」ばかりを優先し,(学校では)「嘘」をつき続けることを習慣化させる道徳。

>今の道徳では,年寄りに席を譲るのは,「気持ちいいから」なんだそうだ。

 席を譲るのは,気持ちがいいという対価を受け取るためなのか。

 だとしたら,席を譲って気持ち良くないなら,席なんか譲らなくていいという理屈になる。

 年寄りに席を譲るのは,人としてのマナーの問題だ。美意識の問題といってもいい。

 マナーにわざわざ小理屈をつけて,気持ちいいから譲りなさいなんていうのは,大人の欺瞞以外の何ものでもない。


 全くその通り。

 心の中では,「あー,疲れて眠りたいのに,お年寄りが乗ってきてしまった」という声がしていてもかまわないはずです。それも否定されるのが今の道徳だという批判なのです。

 学校が行う道徳教育は,学校が行う,という時点ですでにたいへん難しい問題を抱えている。

 それを強化しようという動きは,難しい問題をさらに難しくする施策なのです。

 だから,教師たちには,「いかに誤魔化すか」が力の見せどころということになります。

 「道徳指導の誤魔化し方」という本は,さすがに出版しにくいでしょうね。
 

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正しさ,使いやすさ,美しさ~地図から読む江戸時代


 


 新書ではなく,ぜひとも大型のカラーで読みたかった本である。

 日本の地図に関して,江戸時代だけの話だけでなく,

 「行基式日本図」が描かれた中世から解説が始まっている。

 さて,日本人の多くは,小中学校や高等学校で,帝国書院という会社が発行している地図帳を教科書(中学校のシェアは100%に近い)として使用した経験をもっている。 
 
 この地図帳は,書店でも販売されているが,よく売れているらしい。

 統計だけでなく,内容も更新されていくから,定期的に買っている方もいるのだろう。

 教科書としての地図帳では,言うまでもなく,「正しさ」と「使いやすさ」が重視される。

 地図の歴史をさかのぼると,「正しさ」がそれほど重要ではないケースに出会える。

 用途によっては,「美しさ」が最も大事な要素だったりもするだろう。

 教育の世界でも,あまり「正しさ」ばかりに気をとられて,

 無味乾燥な数字や用語だけの世界に陥る愚を避けるべきときがあるだろう。

 特に人間の「評価」にかかわる部分については,「正確さ」よりも,

 「成長させるための道具」として扱う方が,有意義なものになるだろう。

 「美しい評価」と呼べるようなものを開発したいものである。

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弁護士や裁判官にはできない発想~小学校社会科の教科書で政治の基礎知識を



 262ページという分量の本ですが,とても読みやすく,1時間ほどで読み終えることができました。

 もしかしたら,教科書そのものの新しい形をつくってしまう対談本かもしれません。

 こちらで紹介したいものは,この本の真骨頂となる「裏の社会科」の内容ではなく,

 「表の社会科」で指摘されている内容です。

 法曹出身者と国会議員の思考法の違い。

>人権派の裁判官でも弁護士でも,発想が非常に保守的になるわけですね。最初に法律ありきで,「法律は人がつくるものだ」という発想が希薄なんです。

>裁判官や弁護士出身の方だと,「法律の範囲の中で何をやるのか」という「法解釈」の話になるんです。これが司法試験を経ていない政治家の先生だと,「法律がおかしいなら変えよう」「別の法律を制定して対応できないか」という話になります。

 政治にとって,官僚や弁護士,裁判官ももちろん大切な仕事ではありますが,

 最も大切なのは「法律をつくる」仕事,そしてその仕事を担う政治家であるという実感を子どもに持たせることができそうな話です。

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ドラマより人間くささがいい小説~下町ロケット

下町ロケット (小学館文庫)
池井戸 潤
小学館
2013-12-21


 最終回の阿部寛の目が異常に充血していたわけがわかりました。

 放送直前まで不眠不休で撮影が行われていたようで,

 寝不足の人特有の声のこもり方など,想像していた通りの理由でした。 

 編集もたいへんだったようですね。
 
 少しセリフ送りが早すぎる感じもしましたが,計算しながら撮影する暇もなかったのでしょう。

 小説の方は,ドラマよりもっと人間くさい部分が多く,

 また別の楽しみ方ができそうです。

 テーマは最新で,機械や技術は最先端でも,

 どことなく昭和っぽい雰囲気が,

 高度経済成長気を経験した中高年の人たちに受けるのでしょうか。

 また,よいテンポの中に,役者っぽくない,これまたくささの漂う演技もあることが,人気の秘訣かもしれません。 

 「かっこいい」弁護士や医師,ジャーナリスト,大企業や中小企業の経営者,技術者,社員たちに比べ,銀行員の情けない描き方は著者特有のものですね。

 視聴者ではなく,役者たちが涙を流すシーンが多すぎたのが,玉にキズ,といったところでしょうか。

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