教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2016年03月

やる気と学力を高める8つの新常識~ニューズウィーク日本版



 特集記事「やる気と学力を高める8つの新常識」を参考に,

 親が子どものやる気を失わせる行動を整理しておこうと思います。 

1 褒めすぎること

 大げさに褒めて自己肯定感を高めようとする親や教師がいるが,こういう行動が逆効果になっているというアメリカのデータがある。

 アメリカも日本も,「子どもを傷つけたくない」と思う親の心は共通だろう。その親心によって,「難しい課題に取り組まない」→「学力が高まらない」という悪循環を生んでいる状況に気づけるかどうかは大切なことである。

 子どもには,「親の期待を裏切りたくない」「親をがっかりさせたくない」という「親思い」のところがあることも忘れるべきではないだろう。

2 褒美を与えること

 本を読んだり宿題に取り組むことでお小遣いがもらえると,学力は向上したらしい。

 ただし,テストの点が上がることでお小遣いがもらえるとした場合は,学力は伸びなかったという。

 「どうして宿題したのにお金をくれないの?」という子どもが増えるのは,おそろしいことである。

3 親が苦手だから子どももできないと思わせること

 算数ができないのは,遺伝のせいだ,と思って(安心して)勉強しない子どもはいないだろうか。

 子どもにとって,「苦手意識」というのはけっこうやっかいな障害である。それが親のせいだ,ということで納得してしまえば,親が子どもの可能性を奪っていることになる。

4 親が教えるばかりで子どもから学ぼうとしない

 教育心理学を学べば,「人は教えることによって最もよく学ぶ」ことの意味をよく理解できるはずである。

 にもかかわらず,教師は「教えること」に専念したがり,親も「私が教えてあげなければ」というプレッシャーを強く感じている。

 子どもが学んでいる教科の内容に親が興味をもって,子どもに説明してもらうような時間をつくることができる家庭環境が望ましいということだろう。

5 富裕層の家庭ほど恵まれていないこと

 アメリカのデータが日本にそのまま当てはまるようなものは今では多くないが,いずれ同じようになっていくかもしれないという危惧を抱くことに害はないだろう。

 アメリカでは思春期を迎えた富裕層の子どもが突出して不安やうつ,違法薬物の問題などを抱えているそうだ。

 日本では,東大生の多くがコミュニケーション能力に障害をもっていると言われる。

 東大卒のすべてが富裕層になるわけではないだろうが,私がある仕事についていたときに,「あいさつができない子どもと親」の特徴に気づいたことがある。

 日本の富裕層の中には小学校から地域外の学校に子どもを通わせ,地元とのふれあいを一切絶った状態のまま成長させる親がいるが,こういう親子が「あいさつを苦手にしている」というデータを集めるのは困難なことではないだろう。
 
 身近な地域の人々と積極的なかかわりをもつことが,自分たちの生活にとってプラスにはたらく,という意識をもたないまま社会に出て「富裕層」になっていくことが,社会全体としてどのようにマイナスにはたらくか,社会学者の見解を聞いてみたい。

 家庭や地域の中で,安心して学力を高めていける社会づくりを進めていくために,学校はどのような貢献ができるだろう。


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「緊急中毒」という健康的な病~7つの習慣-3



 日本人が「働き蜂」と呼ばれる所以は,長時間働くこと,仕事がたくさんあることに不満を抱かず,むしろそのことが「生きがい」「やりがい」「生きる自信」「認められているという自覚」「満足度」に結びついているからだと思われます。

 「国民性」といわれてしまうと,自然環境や歴史も含めたあまりにも多くの要因があるように感じてしまいますが,教師としては学校で送らされている生活が大きく影響しているように思います。

 中国で会社を立ち上げたある日本人から,日本人と中国人の労働観の違いを詳しくうかがったことがあります。

 中国では,ある任務を遂行中に,「この仕事もお願い」という上司の指示は倦厭されると言います。

 「なぜ私がしている仕事の邪魔をするのか」という感情を引き起こしてしまうとのこと。

 日本なら,仕事の内容にもよりますが,「上司は私を評価してくれている」という印象をもつ人が多いでしょう。

 「今,私は5つのプロジェクトを抱えている」という人が,どのような態度でそのセリフを口にしているか,想像してみてください。

 自分に任されている仕事の量と質が,自分自身の能力に見合わなくても,取り組みの過程で能力を高めてくれる,という自信と前向きな姿勢が日本人には備わっているわけです。

 日本の教育のカリキュラムは,そういう日本人の育成を進めてきた,と考えることができるでしょう。

 今後は学力向上の面でそういう方向性がさらに目指されていくことになるでしょうが,日本の教育現場では集団で行う学校行事や部活動も充実していますから,まさに「全人的な教育」で「緊急中毒」を育成しているということになります。

 「体がいくつあっても足りない」状況は,決して「不満」のもとだけでなく,「満足」につながることでもあるのが日本の特徴と言えるでしょう。

 ただし,「忙しい」というだけで満足してはいけないのは当然のことです。

 『7つの習慣』では,「あなたは何を目指しているのか」「あなたにとって重要なことは何か」を問いかけてくれます。

 重要度と緊急度の見極めをマトリックスで行えるヒントをくれています。

 「自分自身」を失いつつある人にとって,よいアドバイスになると思います。

 ただ,入社してすぐに「自分にとって重要なこと」ばかりにとらわれていては,仕事が成立しないはずです。



 たとえば,学校では,初任者には有無を言わせず部活動を持たせるべきです。 

 「部活動のために教員に採用されたわけではない」のは当然のことです。

 しかし,「自分はなぜ教師になったのか。塾の講師ではなぜいけなかったのか」を問い直してみればいいでしょう。

 また,「自分はどのような教師たちにお世話になったのか。成長させてくれたのか」を自問してほしいと思います。

 生徒のころに部活動にも入らず,塾づけで大学に入り,採用試験の勉強漬けしかしてこなかった人が教員になることだけは避けてほしい理由は説明するまでもないでしょう。

 もしそういう人が教員になってしまったとしても,部活動の指導を通して,自分が学び直すきっかけにもなります。

 部活動の指導ほど,お金をかけずに,濃密な「研修」ができる場はありません。

 もちろん,「お金をかけることも可能」です。

 私も部活動の指導に関する書籍,ビデオを自分で買って研究したこともありました。

 「だれもお金を出してくれないから,研究・研究はしない」という態度ではいけません。

 できるだけ収入が自分の自由になっているうちに,お金をかけていくべきでしょう。

 教育界では,つまらない本でも売れれば出版されるという文化がありますが,今は本を買わなければ読めない情報よりも,ただで手に入る価値の高い情報がいくらでもあります。

 学校の教師は,基本的に「緊急中毒」です。

 問題行動が起こらない日が続くと,落ち着かなくなるのが教師の性です。

 「重要ではないことはない」という特殊な職場環境にある教師にとっては,かなり高度な職業倫理観が伴うことは確かでしょう。

 子どもの成長は確実ですがゆっくりですから,「自分の仕事が成果に直結している」と実感しにくいのが教師の仕事です。

 特に中学校の教師の場合は,「成果」が現われる前に子どもが卒業していくことも多々あります。

 「成果飢餓状態」でも,希望を失わないで仕事に臨める強靱な精神を養う場は,いくらでもあるのが学校現場というところです。

 私の未来予測になりますが,日本の教育が,従来からのタイプの日本人によって支えてられていたのだ,ということに多くの人が気づくのが10年後くらい先のことになるでしょう。

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世界語源遺産~週刊ダイヤモンド・ご当地まるごとランキング



 「語源ハンター」のわぐりたかしさん(放送作家として活躍,2014年に大阪府立高校の校長に着任)の特集が紹介されている。

 だれでも知っている言葉だが,もとになっていることがらは何か,だれが言い出した言葉なのかまで知っている人は少ないものもある。

 地団駄を踏む

 トロ

 のろま

 ひとりずもう

 やぶ医者
 
 急がば回れ

 チンタラ

 べっぴん

 うだつが上がらない

 つつがなく

 これらの語源にかかわりがある地域はどこか。次の10都県から選んで下さい・・・。

 東京 山形 新潟 愛知 滋賀 兵庫 島根 徳島 愛媛 鹿児島 

 ヒントは・・・

 地団駄を踏む・・・古代製鉄法であるたたら製鉄に由来する

 トロ・・・マグロの脂の多い部分は,もともと大アブ,中アブと呼ばれていたが・・・

 のろま・・・国の重要無形民俗文化財「野呂松(のろま)人形」に由来する

 ひとりずもう・・・「一力山」が稲の精霊と戦い,精霊が2勝1敗で勝ち越す神事

 やぶ医者・・・名医がいた養父(やぶ)市
 
 急がば回れ・・・武士の 矢橋の舟は 早けれど 急がば回れ 瀬田の長橋

 チンタラ・・・焼酎の伝統的な蒸留法

 べっぴん・・・「鰻の蒲焼き」のキャッチコピー

 うだつが上がらない・・・建築用語「卯建」(屋根の両端の壁面から突き出したしっくり塗りの防火壁)

 つつがなく・・・ツツガムシ病,ツツガムシ病を媒介する「恙虫」

 これら以外の「語源遺産」所在地として,紹介されているのは

 東京都・・・十八番(おはこ),銀ブラ,くだらない,土壇場,へなちょこ,やばい

 京都府・・・相づちを打つ,後の祭り,らちが明かない,ろれつが回らない

 大阪府・・・縁の下の力持ち,タニマチ  などがある。


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中学入試国語問題の研究が,次世代学力にどう結びつくか?~中学受験必ず出てくる国語のテーマ

中学受験 必ず出てくる国語のテーマ
小泉 浩明
ダイヤモンド社
2007-09-29


 雑誌に紹介されたことが影響したのでしょうか。

 Amazonでは7つの中古品が出品されていますが,最低価格が現在,6300円になっています。

 (2冊だけが6000円台で,3冊目以降は12000円以上・・・!)

 350ページ近くのこの本は,9年前に出版されたものですが,中学校の国語の入試問題の傾向にはそれほど大きな変化が見られませんから,貴重な本になっているということです。

 第3部の「応用編」で学校ごとに特色のある「テーマ」を最新のものにすることで,「改訂版」が出版されてもそれなりに売れる本になると思われますが・・・・。

 内容はもちろんですが「コラム」もそれなりに読み応えがあり,上位校では中位校と比べて哲学的,抽象的なテーマが増えるなど,実感としてはわかっていても,実際のデータ(割合)で示されると納得しながら対策を立てることができそうです。大学入試レベルの文章が,中学受験国語ではふつうに出題されます。

 中学受験というものが,いかに高校や大学の受験と異質なものか・・・・中学受験段階でどれだけの上位層が「引き抜かれていくのか」が如実にわかる1冊です。

 私がこの本を取り上げた理由は,「問題文の内容をある程度知っていることが強い武器になる」といった「中学入試国語」について語りたいわけではなく,

 そもそも学力上位の子どもたちは,どのような「テーマ」について書かれた文章を,どう読み解く力が問われているか,を知る手がかりになるということ・・・それは,次世代型学力を高めるために,どのような「教養」が小学生に問われているかを知ることに意義があると考えたからです。

 「問題がつくりやすい文章」という見方のほかに,学校として出題したくなる,生徒に「関心をもっていてほしい文章」とは何か,

 そこから得られた関心は,将来,国語以外のどのような教科で,どこまで高められていくのか,そして,上位校では実際にどのような能力をつけることができて,大学や社会で生かしていけているのか,などを知るチャンスになります。

 なお,この本の「テーマ」という切り口は,新しい大学入試をつくっていく上で,重要な視点となりうるものです。

 結論がわかっている道徳と同じくらい,「簡単に」著者の意図がわかる国語のイメージができあがっていくかもしれません。

 あとは,「問題作成者」がどこを「問題」として切り取ってくるか,その技能の高さに関心がもてるレベルにまで・・・。

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なぜいじめはなくならないのか?~闘うための哲学書



 なぜいじめはなくならないのか?

 スピノザは明確な答えを用意してくれています。

>人間は必然的に諸感情に従属する。また人間の性情は,不幸な者を憐れみ,幸福な者をねたむようにできており,同情よりは復讐に傾くようになっている。さらに各人は,他の人々が彼の意向に従って生活し,彼の是認するものを是認し,彼の排斥するものを排斥することを要求する。

 教育ブログの記事を読むと,まさにこのような人の性情そのものをストレートに表現してくれている文章に出会います。

 スピノザが生きていて,小中学校の道徳の授業を参観したら,どのような意見を出してくれそうでしょうか。

 スピノザは,哲学者が往々にしてきれいごとや理想から議論を展開しようとすることを厳しく批判しています。

 道徳の教科書は,導きたい価値観に導くための教材が配列されるはずであり,あまりにもわざとらしい文章が出てくれば,それだけでわかる子どもは道徳の学習が嫌いになります。

 スピノザの洞察は鋭く,

>(きれいごとや理想は)それ自体が,自分のことを棚に上げようとしたり,ある種の知的優越感に浸ろうとする情動に哲学者が従属していることを示している

 もしスピノザが道徳の授業をしたら,さまざまな犯罪の裁判記録を読み解くところから始めるでしょうか。

 たとえば虐待による子殺し。

 「どうして人間はここまで残酷に, わが子を殺せることができるのか?」

 「子どもに対する愛情がない親は,どうしたらなくすことができるのか?」

 いきなり深刻な話になってしまいそうですね。

  こんな授業ばかり受けると,「きれいごとの方がまだましだ・・・」という認識に変わるかもしれませんが・・・。

 さて,スピノザとは逆の角度から,「本来起こらないはずのいじめがなぜ起こってしまうのか」という追究をめざすべき,という意見も紹介されています。

 「虐待」でも使えそうな考え方ですね。

 学校としては,「いじめなんて,起こって当然だ!だって,お前たちはみんな・・・・」

 なんていうアプローチをとりたくないですよね。

 やはり,「いじめはあってはならない」から入らざるを得ない。

 教師は,「もともと人間は理性を備えているから人間なんだ」という理想形を語るところから始めて,問題の解決までもっていかなければなりません。 

 考えるヒントをたくさんもらえる本です。

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