教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2016年06月

思考停止を導く「形容詞」~週刊ダイヤモンド



 櫻井よしこさんのオピニオン「縦横無尽」で,

>戦後最大のこの危機を乗り切る際に,私たちは形容詞を頭の中から排除しなければならない。

>形容詞をかぶせた瞬間,事実に沿って物事を考えることができにくくなる


 として,「戦争法」という呼び方の問題点を説明している。

 言葉によって単純な人たちの「立場」「意見」はころころ変わってしまう。

 「事実」よりも,「イメージ」を武器に戦う人たちは,

 単純な人たちを好きなように操っていく。

 
 「お盆玉」という言葉が広く知られてしまうと,懐具合がよくないじじばばは困っていくだろう。

 なぜ単純な人が増えやすいのかは,中学高校時代にやったテスト勉強を思い出してもらえると,よくわかるかもしれない。

 「用語」を覚えておけば何とかなる高校入試や大学入試が,

 人間の思考を本質的なものへの追究から遠ざけてきた。

 「単純さ」を売りにする人たちにとって,

 「イメージ」をしやすい「言葉」の利用が最大の武器である。


 「教育」はそう簡単にいかないことに気づいて初めて目が覚めるのでは困るのだが。


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合格者平均点の使い方~算数の戦略的学習法



 合格者平均点が100点満点の入試問題で70点のとき,

 過去問を解く受験生は,70点を満点だと思って解いてみる,という方法が紹介されています。

 これは私が長男に言っていたことと同じで,「合格」を目指す上で,とてもよい目標の立て方であるという実感をもっています。

 全部を解かなければならない,というあせりがなくなること,

 目標がやや下がるので,やる気を失いにくいことが大きなポイントだと思います。

 仕事でも何でも,「目標設定」の方法にはさまざまなものがあるでしょうが,

 あまり高い理想を掲げずに,あくまでも「努力が続けられる目標」を設定することが,

 成功への近道になると思われます。

 「折れない人間の作り方」に,企業も学校現場も,高い関心を向けるようになったとき,

 まず第一に挙げられることになる方法になるでしょう。

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崩壊しつづける輿論政治~日本近代の起源



 歴史とは過去との対話であるとともに,現代との対話の中から,過去の意義を見出すものでなければならない・・・当たり前のことが,なかなかできないのが歴史学の世界でした。

 「近代のはじまりは鎌倉時代」と言われても,ただ唖然とするばかりかもしれませんが,

 「輿論政治」成立の指標を「合議制」におき,さらに「合議制」成立の指標を権力の多元化,分権化,封建化とするという発想になってくると,少しずつしっくりくるようになります。

 そして,

>輿論政治のひとつの特徴は,たしかにそれ自体としては安定せず,不断に代行権力を生み出しつづけ,最後はその代行権力に呑み込まれて自滅するというところにあった。

 さらに,「代行権力」を正当化するための考え方に「死者の輿論」=過去の人々が残した輿論をもってきたあたりが,著者の発想のオリジナルということでしょうか。

 ルソーと本居宣長が同じく「古い法律」を絶対視したことに納得できれば,「近代」という時代の新しいイメージができあがってきます。

 原爆と原発。

 歴史家としての責任。

 こういう本を読んで歴史に興味をもつ人が増えると,大学における「教養学部」の存在意義も確認できるのでしょうが・・・・。

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日本の長期停滞の原因とは・・・教育の長期低迷の始まりも近い?~週刊ダイヤモンド・Book Reviews



日本資本主義の大転換
セバスチャン・ルシュヴァリエ
岩波書店
2015-12-23


 EUとは,そもそも「将来への危機感」から出発した組織です。

 EUの人々にとって,今週の最大の関心事は,イギリスの国民投票の結果でしょうが,その結果のいかんにかかわらず,フランスやドイツも「このままでは・・・・」という将来への危機感を抱き続けているに違いありません。

 フランスの経済学者は,日本の長期低迷をどう見ているか。

 「その前」の日本経済の快進撃をどう振り返っているか。
 
 もともとはヨーロッパ向けの本だったようですが,日本の学者もしっかりチェックしていたようです。

 書評では,

>グローバリゼーションでは,米国的な方法論が唯一の道ではありません。

 という指摘とともに,日本では構造改革の後れが問題だと言われているが,そうではなく,

>従来からの制度を考慮せずに改革を進めて一貫性を損なったから長期停滞を招いた

 という見方があることを紹介してくれているとしています。

 経済界だけでなく,教育界もこういう内容はチェックしておく必要があります。

 たとえば,東京都の教育は平成十年ころからの改革によって,「長期停滞」が始まってしまっています。

 今は何と,管理職や指導主事のなり手がいない,という組織にとって致命的な事態に陥っている。

 「停滞」ですめばまだまし。「壊滅」に向かわないことを祈ります。


 同じような変化が,国の方では,「資質能力」を重視していこうとする学習指導要領の大きな変革によってひきおこされようとしている。

 「内容ベース」ではなく,「能力ベース」で教育の一貫性を作っていこうとする改革が,すべてを台無しにするおそれがあることを,企業の能力主義の失敗から学べないといけないのです。

 このことを本書は予言してくれているようです。

 高校をこの方法で改革しようとすると,せっかく「一貫性」をかろうじて残しながら改革を進めていた小中の教育まで,破壊されかねません。

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道徳の評価はやめてください~名言の内側(歴史の発想に学ぶ)

名言の内側―歴史の発想に学ぶ
木村 尚三郎
日本経済新聞社
1990-08


 生徒たちからの切実な願いです。

 たとえ数値化されないものであっても,道徳の学習を評価の対象にしてはなりません。

 上の本の中で,外山滋比古さんが「情けは人のためならず」という言葉の用法を『平治物語』や『太平記』から引用し,次のようなことを書いています。

>人から受けた恩を忘れずに恩返しをする,というのは美徳である。しかし,善根を積めば応報がある,からというので人に親切にするのでは打算になる。はじめから見返りを当てこんだ行為なら策略だ。情けは人のためならず,には,そういう考え方がまったく立ち入るすきがないとは言えないのである。

 「打算」や「策略」といった行動パターンを生徒が示してしまう結果になるのが,「道徳」の評価なのです。

 道徳的な行動は,評価に値するから素晴らしいのではなくて,

 その行動自体が素晴らしい,でよいのです。

 「評価をしない」という大前提があったからこそ,何とか成立していた学校の道徳教育が,本格的に崩壊する始まりが訪れようとしています。

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