野球の世界では,監督・コーチが絶対という。
雑誌のインタビューで,ある会社社長が昨年のラグビー世界選手権での南アフリカ戦での出来事をひいて,野球界の特質を表現してくれている。
>「同点のペナルティゴールを狙いに行け」と言った監督の判断を反故にし,選手はトライを選んで勝利した。「あれは野球では絶対ありえない。野球は指示待ち人間養成所のようなところがある。競技人口の割に社長が少ないと感じるのはそのせいだ」と分析する。
この社長さんが完全なる「指示待ち養成機関」を卒業した人間ではないことは,次のエピソードからよくわかった。
>特に27歳で独立した後,運動部経験のないデザイナーと仕事をするようになって鮮明に感じるようになった。「指示した直後に彼らが返事をしないことがあった。最初は腹が立ったが,返事をすることがすべてではないと感じるようになった。真剣に考えているから,すぐに返事をしないこともある」。
「すぐにハイというバカ」という話も有名だが, 安易に「頑張ります」とか「やります」といった威勢のよい言葉にだまされた経験がある人は,おそらくそういう「積極的」な人を恨む気にはなれないだろう。
しかし,「返事さえすれば,相手の機嫌を損ねることはない」ことを知った中学生を私は多く見てきて,「考える子どもとはどういう行動をとるか」を落ち着いて観察するようになった。
教育の場にいて,野球というスポーツが本当の意味での生きる力を子どもにつけさせることができるよう,指導者が留意すべきことの重みを痛感している。
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