教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2016年08月

転職して成功できる人とは?~鋼のメンタル

鋼のメンタル (新潮新書)
百田 尚樹
新潮社
2016-08-10


 私は中学校の教師をしているので,今まで嫌と言うほどの数の「甘えん坊」を見てきた。

 「甘えん坊」の子どもの親に会うと,子ども以上に「甘えん坊」であることがわかったり,

 親子ともども「本当につらい経験をしたことはなさそうだな」とうらやましく?思ったりもする。

 『鋼のメンタル』では,「転職するのにふさわしい人」のアドバイスがあった。

>私はこれまで転職に成功してきた人を何人も見てきました。彼らにはある共通点があります。それは,前職でも成功を収めてきた人ということです。

>環境が変われば伸びると思うのは錯覚


 さすがに厳しい指摘で,中学生くらいだと,環境を変えることで,不登校でなくなったり,いじめが一気に解消されたりするケースがありますから,「大人の世界の話」にはついていけない職業かもしれません。

 教師が抱いている純粋な「幻想」とは,

>「教える」「教えられる」という関係の中で,「教えられる」側がガラッと変わる瞬間がある

 というものです。

 何か知識を得たり,特別な技能を身につけることで,子どもはそれまでできなかったことができるようになります。

 鎌倉時代と室町時代の区別がつかなかった中学生が,その落差の大きさに愕然とした瞬間,

 「中世」という時代の大きな特色をつかむことができる。

 時代の大きな流れを理解するとは,どういうことかがイメージできるようになる。

 そうすると,時代の転換期を学ぶことの意義が,今と将来の生活を考えることと結びついてくる。

 ただ教科書を初めから順番に読んでいくだけのような授業では,何も身につかないで終わることを,多くの人たちは実感されていることでしょう。

 「伸びしろ」がなくなった大人の世界とは,そんなに厳しいものでしょうか。

 「トップの位置にいる人の転職しか成功しない」というはいささか厳しめの主張ですが,

 「甘くない世界を生き抜く力」を得るために,あえて失敗してみる,という選択肢をとれる社会にすることは絶対に無理なのでしょうか。

 

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「受験刑務所」型の高校にはない強み~君たちが知っておくべきこと



 エリートをつくるための教育が,多くの人々の関心を呼べる国にしたい。

 「受験を考えていないから」「受験の準備にお金がかかるから」「受験しても合格しそうにないから」

 こういう理由でエリート教育への知的関心のアクセスを閉じてしまうと,

 「大衆の支持こそが大切」という政治風土がある社会では「エリート教育」が死んでしまう。

>東大進学者数の推移に一喜一憂するような「受験刑務所」型の高校とは,質的にまったく異なる,他人の気持ちになって考えることができ,自らの知的好奇心に基づいて,大学,場合によっては大学院レベルの学術的な専門事項についても消化することができる傑出した人間を形成するところに灘の教育の本質がある

 著者の関心は,「反知性主義が社会にとっていかに危険であるか」だが,

 「受験刑務所」になりかけている今の公立中高一貫校の現実を著者が知ったら,どう思うだろう。

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感情を理性でコントロールさせようとする教育の結果・・・感情で釣られる人々



 理性と感情を別々のものとする前提からスタートするのは難しい。

 理性的判断は忍耐を強いられるとは言っても,理性的判断の結果として成功し,感動や満足感を得られることがある。

 働く人が,高い報酬や地位という「数値化」されるものよりも,

 「やりがい」「働きやすさ」を求めるのは,そもそも「目標」が異なっているから仕方がないのかもしれない。

 ものを買う人にとっては,機能や価格よりも企業や商品のイメージに左右されるというのは,「その程度のもの」なのだから仕方がない。

 感情で左右されるべきではない場面というものがある。

 しかし,場合によっては,「理性的に感情を優先する習慣」がものを言う場合もある。

 間違った理性が本心ではない感情を優先する結果,どういうことが起っているかは,

 教育現場にいるとよくわかる。

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読んだら頭が悪くなる本とは?~現代の地政学







 「地政学」という言葉をタイトルに入れる本がはやる前からスタートしていた講座の講義がもとになっているので,とても読みやすく,わかりやすい。

 珍しいのは,ある本の誤りを原文を引きながら解説している内容で,こうして活字になってみると,批判された側は立つ瀬がない。

 地政学のポイントは,「長い時間がたっても動かないもの」が基本であり,そうでないものは地政学の基本要因ではないことをふまえないと,「なんでもちせいがく」になってしまう。

 では,次のうち,「長い時間がたっても動かないもの」とはどれか?

 1 民族
  
 2 宗教

 3 石炭(資源)

 4 石油(資源)

 これらの中で,地政学の基本要因に含まれるものは1つしかない。

 次の1文は,批判されている本からの引用です。

 どこがおかしいか,矛盾点が何かは,アジア太平洋戦争を学んだ中学生でもわかります。

>日本本土を守ろうとする場合,敵が攻め込んでくる一歩手前で敵の侵攻を食い止めるには,つまりは前方展開でそれを阻止するには,朝鮮半島と台湾を少なくとも敵側に渡さないことが,そしてその地域に敵対的政権をつくらせないことが死活的に重要になる。

 
21世紀 地政学入門 (文春新書)
船橋 洋一
文藝春秋
2016-02-19



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現代社会の見方・考え方を育てた結果,「未来の廃墟」が生まれる?~世界「最終」戦争論



 「シンガポール化をめざす日本」と聞いても,何のことかよくわからない人も多いでしょう。

 「シンガポールと北朝鮮の共通点は?」と聞かれてもピンと来ない人には,

 「なぜピンと来ないようなしくみになっているのか?」 という問いを投げかけたくなってしまいます。

 質問の意味がわからない?

 コンパクトシティ構想に関連した記事を少し前に書きましたが,中学校社会科の公民的分野の学習でその是非を扱ったことがある先生はいるでしょうか?

>「無駄な」インフラに投じていた税金で駅前に高層ビルを建てて,そこに集合住宅を作り,医療や教育などの行政サービスを集中させれば,住民は便利だし,効率的な経済活動もできる。

 「効率」という観点は「公正」などよりはるかにわかりやすいもので,わかりやすいからこそ,そういう主張もしやすくなっていく。

 農地からひきはがされた住民たちが高齢化したころ,農地があった場所やコンパクトシティ自体はどうなっていくのか?

 そこまで考えさせる授業をするのは難しいかもしれません。 

>「人口減少社会でどうやって経済成長するか,何か案はあるか?」と上司に訊かれたら,「地方の里山を居住不能にするのが一番手早いと思います」というレポートを書きますね。

 経済成長を達成するという主要目的のために,「自由」を捨てる時代が本当にやって来てしまうのでしょうか。

 「日本のシンガポール化」が目の前に迫ってきていることに焦り始めたときは,すでに手遅れになるでしょう。

 河川の増水は,あっという間にやって来ます。「まだ大丈夫だろう」なんて思った瞬間が本当に危ない。

 政治の世界でも,「堤防」にあたるものの役割はとても重要かもしれません。
 
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