世界レベルで見ると,国内でしのぎを削っているアサヒ,キリン,サッポロ,サントリーでも,地ビールと同じような「その他」に分類されるレベルに過ぎないという。
グローバルな視点から見ると,国内で行われているのは「ミクロの戦い」。
各社が取り組んでいる日本のビールのイノベーションは世界一なのに,グローバル競争では手も足もでない,周回遅れのランナーである。
「周回遅れのトップランナー」という言い回しは,使い方によっては「褒め言葉」にもなるが,自分の立ち位置がわからない人(企業)にとっては,痛烈な批判にもなる。
国内消費だけを頼りにしていては,人口が減少している分,また,たらふく飲んでくれそうな人が減る分,衰退の一途をたどるしかないだろう。
中学生の社会科の授業で,「広告」から世の中の仕組みを探る課題に取り組ませたことがあるが,テレビのCMで,自分が買うことはないのによく見せられるものの代表として必ず挙げられるのが,自動車とビールである。自分が使うこともあるのは,携帯電話の通信会社,歯磨き粉,歯ブラシ,洗剤などである。
経費に占める広告宣伝費の割合が高い化学製品,食品,自動車やビールなどは,他者製品との「差別化」が図りにくい。 だから「イメージ戦略」が大事になる。
自分がその製品を購入すると,そのうちの何%分,広告代金として支払うことになるか,という問いに対して,まさか消費税よりも高いお金を支払っているとは思っていなかったという子どもも多い。
ただ,日本語で国内の日本人だけのためのコマーシャルを見続けていると,この国の企業に将来はあるのだろうかと思えてくる。
中学生レベルだと,時価総額なんていってもピンとこないかもしれないが,売上高で味の素(日本最大の食品会社)とネスレ(世界最大のスイスの食品会社)を比べてみると,びっくりする。
日本の人口はスイスの何倍あるか。
「今さら手も足も出ない」という世界を前にして,「英語が駆使できる国民を増やす」なんていう教育政策を慌てて打ち出そうとしている姿も真に滑稽である。
穴から這い出せない企業を30年後の「英語が駆使できる一部の国民」が救ってくれる保障はあるだろうか。
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