教育失敗学から教育創造学へ   (読書編) ~子どもの教育に情熱をかける人々のために~ 

小学生と大学生の親です。 このブログでは,読書から得られた発見や視点を中心に,子どもの教育について考えていることを書き綴っていきたいと思います。

2017年11月

アクティブ・ラーニングとの向き合い方



 上記の号ではなく,7月増刊号に掲載された児美川孝一郎氏の「アクティブラーニングとの向き合い方~「器」に注ぎ込むのはどんな「魂」か」という文章が現場の教師にはとても参考になると思われた。
  
 新しい学習指導要領がめざす方向性についての示唆が的確である。

現在の政権がめざすのは,グローバル経済競争下での日本企業と日本経済の生き残りを国を挙げて支援することであり,先進諸国の間での人材育成競争に乗り遅れることは,政権にとっても致命的な失点となってしまう

 のはだれもがわかっていることだが,次の指摘は重要である。

この国における「新しい能力」論においては,欧米の議論におけては当然のこととして登場する「批判的思考力」という要素が,ほぼ完璧に抜け落ちている点にある。目の前の事象を対象化して捉え,疑問や問いを出しながら探究を深めるという「批判的思考」のプロセスを経ずして,はたしてALなど可能なのだろうか。
  
 著者がこの後の記述で危惧しているような「戦争ができる国づくり」が成功するかどうかはわからないが,私がある調査に関与した(まだ結果は公表されていない)経験から言えば,「絵に描いた餅」で終わるような気がしている。

 私が繰り返し主張していることと,著書が述べていることが一致しているのは以下の内容である。

ALなどという言葉を持ち出さなくても,学びは本質的に能動的なものである。「教え」と「学び」は非対称な関係にあり,どんなに巧みに教えたとしても,子どもの内側から能動性が発動しない限りは,「学び」は成立しない。ただし,そのことを学習のプロセスに沿って見れば,学びにおいては,子どもが常に能動的に活動しているということを意味するわけではない。
 
 子どもを全滅させようとしているある教育方法は,次の3つの重要な点を完全に無視している。

教えられなくてはいけないプロセスがある。

>習熟が必要な段階がある。

>沈思黙考のプロセスがあるから,深い思考ができる。


 教師が教えることや指導することを躊躇した「新しい学力観」の登場の二の舞にならないようにしたい。

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ドボ博の東京インフラ解剖~東京人7月号



 インフラを,「骨格系」「神経系」「消化器系」「循環器系」「呼吸器系」「泌尿器系」「免疫系」「細胞の代謝機能」「皮下組織」に分類して,それぞれの役割の意味を考える取り組みは興味深い。
  
 サイトはこちら→。ドボ博

 次の①~⑤は,上の「~系」のうち,どれにあてはまるでしょうか。 

 ① 港や空港(東京港,羽田空港など)

 ② 鉄道,道路,橋,トンネル(東京駅,首都高,日本橋など)

 ③ 川,壕,崖などの地形・水系(隅田川,外濠,国分寺崖線など)

 ④ 通信塔,官庁街など(東京タワー,霞が関など)

 ⑤ 公園や緑地(皇居,上野公園など)

 都市の「細胞」とは人であり,その成長を促す学校や住宅地,運動施設等が「代謝機能」という考え方も面白い。

 日本海に北朝鮮の船がたくさん漂着してしまっているようだが,「免疫系」の機能も今後,充実していく必要があるだろうか。

 【解答】①「消化器系」②「循環器系」③「骨格系」④「神経系」⑤「呼吸器系」


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受験生の親は「子どもの心を見抜く」脳科学に精通している






 「受験生の親は~」というタイトルの2匹目のドジョウが注目されてしまったので,3匹目の登場です。

 ここでご紹介したかったのは,コンビニで買った中野信子著『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』(セブン&アイ出版,本体価格680円)でしたが,書店の流通には乗っていないようで,amazonで検索しても出てきませんでした。

 教師をつとめている私にとって,「脳科学の言葉」に基づいて生活指導を進めることが,大きな強みになっています。実際に役に立っているのはもちろんですが,その中でも「弱い立場の人を救える」ことが励みになっています。受験生の子をもつ親御さんにとっても,きっと参考になる言葉がたくさんあると思われます。

 目の前に,集中力に乏しい子どもがいるとします。普通の教師や親は「集中してやりなさい!」と注意しますが,この指示に実質的な効果がないことは明らかです。

 ここで,「集中力が高い人は,生物としての種の特質から考えると,問題がある」という逆の投げかけをします。集中力が高い人の問題を指摘する人はあまりいません。

 子どもは,何かの注意を親や教師からされると,注意された自分の行為を省みる前に,人間として否定されてしまったように感じてしまうのです。だから,あなたの人格を否定するわけではないことを最初にメッセージとして出す必要があるのです。人間としては,気が散りやすいのは,生きるために必要な,正しい状態である。ただ,今は,集中してもらってかまわない。あなたは完全に安全な場所にいる。今,危険な敵は,スマホである・・。

 少々面倒臭い,と思われるかもしれませんが,毎回やる必要はありません。

 「人間としてのあなたを否定しない」表明をすることには大きな意味があるのです。

>敵を潰すとき,男は物理的な攻撃を,女は人間関係への攻撃を行います

 中2の生徒に話すと,みんな笑います。

 男子より女子の方が,言葉によるコミュニケーション能力が高いのです。コミュニケーション能力が高い女子が,コミュニティに属していることを重視するので,攻撃方法も「~さんがあなたの悪口を言っている」という偽情報が功を奏するのです。

 男の子をもつ母親の方が,自分の子どもを他人の子どもと比較して直に攻撃するのは,控えるべきことです。

>その人の経済力を知りたければ,指の長さを見てください

 この言葉は,

>男性的な女性かどうかは,薬指を見ればわかります

 と言い換えることができます。男性ホルモンの受容体は薬指の骨により多く密集しているそうで,人差し指より薬指が成長している人は,男性ホルモンが多いということになります。

 脳が男性化すると,より攻撃的・積極的に仕事に励み,お金を稼いでくる可能性が高くなる,ということで,最初の言葉が成立するとのこと。

 子どもにはそっと教えておきたい,母親対処法になります。


 
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教育と歴史に共通する「掘り起こし」の努力~日本史の内幕



 「こんな能力が大事なんだ」という「憧れ」「願望」を旗印にして,「基礎」を疎かにした教育を目指そうとする勢力が出てきた。アメリカなどの歴史の浅い国のモノ真似なのだが,結果は目に見えている。格差の拡大である。「こんな能力」とは,ごくわずかな「できる人」が身に付けることに成功している能力だから。時代の最先端と目されながら,実は「時代遅れ」になりつつあると思われる。
 日本には,自然条件の制約があり,そもそもひどい格差ができない国柄なのかもしれないが,「格差を広げない」ための人々の努力もその背景にはあったあずである。

 歴史を動かした人物たちの調査を地道に続けていると,いろんなことが見えてくる。歴史家が果たしている役割の一つである。

 徳川家康がかつて敵対していた戦国大名の家臣を採用していることは,よく知られている。
 
>水戸は「敗者復活」藩
 
 では,著者が茨城大学時代に発見した水戸藩の面白さが紹介されている。

>「経歴に少々傷のある名門」の子孫が流浪の末,吹きだまりのように水戸城下に溜っていた。

 織田徳川連合軍に姉川の戦いで敗れ,滅亡した,朝倉義景の一族までもが水戸藩士に組み込まれているとする史料があるという。ただ,

>朝倉家滅亡後,「今川義元に属す」。今川家が滅ぶと,北条家に属し,またこの北条が滅亡して「浪人となり」,水戸藩士に

 という内容が,史実に反している,ということに気づけることも大切である。

 知識を軽視した歴史教育にすると,せっかく高校生でもできる「発見」や「大間違い」に気づくチャンスを逃すことになるかもしれない。

 道徳教育を考えてみれば話が早い。

 こういう道徳的価値を内面化し,素晴しい生き方ができるようになってほしい。だから,教室でこの題材を提供する。・・・こういう理屈で道徳的価値を体現できるようになる子どもは何%いるというのか。頭でどうにかすることができないからこそ,もっとまともな教育が求められているのである。

 まともな教育とは何か。歴史で言えば,「掘り起こす」ことがベースにある。

 道徳教育を主に担う担任教師が,子どもから何を「掘り起こす」ことに成功できているのか。

 教科書を使っていればよい,という発想が,子どもや教師の道徳心を激しく毀損するのである。

 歴史家が行っている思考法のうち,何が子どもの参考になり,何が参考にならないのか。

 「参考にならない」思考法を思いつける人の思考法は「参考にならない」と考えるのが自然ではないだろうか。
 
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受験生の親は『論語』を読んでいる



 教育ブログには,たくさんの「お受験ブログ」が集まっている。
 
 教育産業では,人気の「お受験ブログ」のアクセス数などをマーケティングにも活用しているのだろうが,私の『論語』に関する記事へのアクセスから,「受験生の親は論語を読んでいる」あるいは「受験生の親は論語から学ぼうとしている」ことが予想された。

 子曰、君子和而不同、小人同而不和
  
 小学校5年生の娘に,この言葉の意味を考えさせてみた。そうすると,クラスで起こっていることと思い当たる節があるらしい。小学生でも孔子との対話が成立する理由は,漢字が使われているからである。

 150年以上前なら,多くの子どもが知っていた言葉である。

 この言葉を習った子どもが,近代の日本をつくっていった。

 現代の日本で大切なのは,何だろう。

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