教育の力 (講談社現代新書)
苫野 一徳
講談社
2014-03-19


 教育論議の不毛な対立を防ぐ「原理」を教えてくれましたが,

 現場にいる教師たちが,なぜ教育学者を頼りにしないのかというと,

 それはただ相手が「現場にいない」からだと言ってさしつかえないでしょう。

 現場で起こっている様々な問題への解決策を,

 教育学者というのは「きれいな言葉」で提示してくれます。

 しかし,現場の実態というのは,そんな言葉でどうにか動かせるほど単純ではありません。

 AとBという全く異なる方針が,

 CではAがうまくいき,DではBがうまくいく,ということが平気で起こります。

 しかし,少し状況が変化したCでは,もはやAではかえって悪化する一方で,

 Bでも救いようがなくなる,なんてことも,次々に起こります。

 何か物事を一般化,抽象化して,

 「こんな原則で・・・」などと表現したら,現場では一巻の終わりです。

 次のようなご指導をいただくことに,どのような「意味」があるのでしょう。

>教育の方法は,目的と状況に応じて柔軟に選択・創造すればいい

 これでは,何も聞かなかったのと同じです。

 教育学者の存在意義はどこにあるのでしょう。

 この本を読んで,ますますそれがわからなくなりました。


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