荻生徂徠の経営学
舩橋晴雄
日経BP社
2010-03-18


 冒頭で紹介されているソニー共同創業者盛田昭夫の

『Made in Japan』の一節を読んで,私が感じたことは,

公立学校の校長たちにも伝染している悪病があるということです。

>見返りを利益でしか考えないアメリカの経営者がよく口にする言葉がある。「これから数年先に,私の後釜に座る人間のために,なぜ私が今,目の前にある私の利益を犠牲にしなくちゃならないのだ?」。欧米では有望な商品を,開発費がかかり過ぎるという理由で見送る経営者が多い。

 公立学校では,全国学力調査の結果をよくすることが最もわかりやすい経営目標になってしまっています。

 10年先,20年先に効果が現われてくるような,地道な取組みが行われてきた小中学校ではやっているのは,「すぐに効果が出る学習」のようなものです。

 そんな学習は,「すぐに効果がなくなる」ものに過ぎないのに,数字がよくなること・・・・まるで株価が1日上昇することに喜びを感じるような・・・・ばかりに気を取られている経営者たち。

 たしかに,管理職にしろ,教員にしろ,公立学校には異動がある。

 ろくでもない荒れた学校に異動させられたとき,

 「立て直すのに最低は3年かかる。その先のために今できることは・・・」

 と必死に将来を見据えた行動をとれる教師はどれくらいいるのでしょう。

 さて,この『荻生徂徠の経営学』からは,実に多くのことが学べます。

 江戸時代に問題視されていたことが,今でも解決されていないことには,

 どのような背景があるのか。どんなに時間がかかっても,解決できない問題なのか。

 解決できないから,そのままにしておいてもよいというのか。

 教訓を受け取っていきたいと思います。

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