「脳」が優れていれば,難しい問題もスラスラ解ける,という言われ方をしたとき,すんなりと「その通り」と感じることができるかどうかで,まずはその人の才能が測れるかもしれない。
何の抵抗感もなく「その通りです」と答えてしまう子どもがいたら,ぜひこの本に紹介されている「トレーニング」を実践させてあげてほしい。
現在のところ,中学受験で「体育実技」があるところはごくわずかである。
こういう中学校は,入試制度そのもので,学校がめざしていることをしっかりとアピールしている。
体を動かすこともそうだが,この本の中で紹介されている「オノマトペ」が受験勉強に生かせないか,今,考えている。
オノマトペとは,フランス語で「擬態語」「擬声語」という意味である。
「サー・タン・パッ・トン」という言葉は,何を教えるときに使う効果的な方法かご存じだろうか。
リズム感をもって一連の流れができると成功しやすいものがある。
擬態語を使わずに説明するより,何倍も効果があるようだ。
だから長嶋監督がバッティング指導の時に使っていた「ダーッ」「バシッ」などという言葉も,あながち「非科学的だ」などと蔑むべきものではないと思えてくる。
易しい問題は,「スラスラ」解けると表現できる。
大量に問題をこなすときは,「ガンガン」解け。
よく耳にする言葉である。
より繊細に,かつ正確に誤りの選択肢を消していくときは?
図形問題を一瞬で解決に結びつけるための補助線を引くときは?
複雑な条件を整理し,結果的には解き慣れた実験結果を導くときは?
子どもたち自身に「発明」させたい。
問題そのものにも「オノマトペ」を命名させてみたらどうか。
「ゴツゴツした問題」
「フワフワした問題」
「ヒリヒリする問題」
私自身の経験では,問題は,「脳」ではなく,「手」が解いている,という感覚を大事にしていた。
鉛筆を持つ手と指が,勝手に解いてくれている状態を眺めているだけでよい・・・・そんな境地に子どもたちをさせてみたいものである。