90分の講演内容を文字で起こすとせいぜい十数ページであることがわかる。
高校生の質疑応答と合わせて,20人分で330頁。
この本をよく1500円で出版してくれたと本当に感謝したい。
もちろん直に講演を聴くことができた桐光学園の生徒は幸せだが,高校生に全力投球する20人の講師の姿に1冊の本で出会える機会は今までにあっただろうか。
内田樹や白井聡のような,安倍政権に対して批判的な立場の講師が呼ばれていることも素晴らしい。
日本の反知性主義への反旗を掲げているようにも見える。
生徒との質疑応答を柱とした写真家・森山大道のところでは,実際の写真を通してのやりとりでなかったことが残念(国会質疑のように,あらかじめ決められた質問に答えているようだった)だが,読者としては意外な質問によって,「写真家」という一つのジャンルでまとめられる単純な仕事ではないことに気づかされる。
村上冬樹さんという,一瞬「あれっ」と思ってしまうお名前の校長先生は,中高生に「学び続けること」「生きていくこと」への道標を示してほしい,という要望を講師に語っていたらしい。
高校生「と」考えるというタイトルが本当にふさわしいかどうかは,質問内容によって判断したいところであるが,講師が「よい質問ですね」とコメントしている部分があったので,くわしくはふれないことにする。
学校のカリキュラムとしては,おそらく総合の時間を使っての講演会だったのだろう。
私としては,講演の受けた後の生徒のレポートを学校HPで紹介してもらえるような「教育成果」の公表を期待したい。
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