うるわしき戦後日本 (PHP新書)
ドナルド・キーン
PHP研究所
2014-11-15


 世界中で「MUJI」というブランドが親しまれていることは失礼ながら知りませんでした。

 無印良品。「無印」なのにブランドになるという逆説的なところが,「日本文化」の奥深さだ,という指摘は,

 足利義政が一代で築いた東山文化を引き合いに出されると,なるほどと思ってしまいます。

 日本人の奥底に流れ続けている「簡素な美」という美意識が,このブランドを育てているというのは否定しにくい仮説です。

 「美意識の勝利」などとまで言ってしまうのはどうかと思いますが。

 この本には,「情報より情緒」という内容が収められていますが,これからの教育を考える上で,どうにも逆方向にしか動いていないような気がしたので記事にしておきました。

 これからの教育を考えている人は,何となく「デジタル世代」の臭いがプンプンしているのです。

 それも,けっこうな歳になってからパソコンをいじりだした世代の人間たちです。

 「こうすればこうなる」という単純な発想で,教育も語りたがる。

 情緒よりも情報が大事という発想をさらに超えて,

 情報よりもスキルだ,と言い始めている人間たちが増えている。

 それなりに経験を重ねた教師たちがこれに乗っかっているのが危険なところで,

 インターネットで検索すれば何か答が出てくるというコピペしかできない教師たちが,

 同様に安易な気持ちで「こうすればうまくいく」というノウハウ本に飛びついていく。

 子どもはこういう操作主義的な教師はすぐに見抜いてしまい,もっともっと嫌いになっていくのに。

 スキルが大事,といっている教師でも,実は情報なり情緒なりを非常に大事にしていたりもする。

 それなのに,情緒の世界に踏み込むと,経験のない教師たちはお手上げになってしまう。

 売れない本より売れる本を出版社はつくるのです。

 小学校向けの本は,「無印」どころではない。

 本のタイトルにまで著者名が入っており,表紙には写真まで掲載している。

 編集者から,「これでないと売れない」という「証言」をとったことがありました。

 「東山文化と教育の心」「禅と教育の精神」なんて本は売れないでしょう。

 しかし,教師たちのスキルに走ろうとする安易さに警鐘を鳴らすことは,絶対的に必要なことだと考えています。

 もちろん,それはスキルに走る受験勉強の結果もたらされたものであり,スキルのおかげで短期的には成功感が得られるという「麻薬」的な魅力があるからだということも忘れてはなりません。

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