小学4年生の世界平和 (ノンフィクション単行本)
ジョン・ハンター
KADOKAWA/角川書店
2014-03-26


 予備校の授業ではもちろん,内容が詰め込まれた日本の学校教育の授業では,「混乱」は避けるべきものと思われています。

 かつて私が指導主事のときに,算数の指導に苦労している教師に助言したことがあった。

 「教師も授業で混乱してかわない。一番よくないのは,わかっていないのにわかったつもりになる子どもをつくることだ。教師の仕事は子どもをあっさりと納得させることではなく,子ども自身が本当に納得できる説明を自らできるようになるのを待つことだ」

 そして次の日の授業で,本当に混乱している姿をみせてくれた。

 子どもにはあきれられてしまったようだが,わからないものをわからないと言える子どもに成長させてくれる先生になっていることを確信している。

 さて,本編での引用が多くなっていたので,こちらに続きを掲載させていただくことにする。

 教師だけでなく,親にも知っておいてほしいことである。

>人生の歩みの中で,混乱はやがて学ぶ側の技にもなってくる。矛盾するデータや思うような結果の出ない実験と格闘する科学者や,どうしてもしっくりこない詩やうまくはまらないメロディに苦悩する芸術家,不公正なシステムを転換する方法や,新たな政策に支持を集める方法を必死に追い求める政治改革者など。こうした人たちは誰もが長く,苦しく,しかし最終的には実り多い混乱にどっぷり浸かっている。そうした不快感に進んで耐え,問題と格闘し続ける意欲こそ,私たちが学ぶべきものであり,彼らに大きな成果をもたらすものだ。

>だから私はこの混乱の段階は大いに価値があると思うようになった。私たちが本当の力を発揮できるように成長する時間を与えてくれるし,目前の問題に本当にふさわしい,深くて最良の解決策にたどり着かせてくれる。もしパブロが困惑を回避できていたら,もっと手っとり早い鋭い答えを,もっと早く出していたかもしれない。そんな答えは「及第点」を得られたかもしれないが,最終的に彼が獲得したあくまでも深い洞察には,必ずしも到達し得なかったのではないだろうか。

>道半ばで安易な即席の答えに安住することなく,最高で最も真実なる答えを見つける力と勇気を私たち自身の内に見出すこと・・・・そのためには,ものごとをスローダウンさせるために,時として混乱が必要不可欠なこともある。


 私が一押しの教員採用試験・論文問題は,これ。

 「上の文章を読み,あなたがこれまでにしてきたパブロと似たような経験について書きなさい」

 経験のない人間に実践者になることを要求できない。


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