強引に選手をひっぱるタイプのコーチより,選手の力を引き出してくれるタイプのコーチが今は求められている,といいます。

 教育の世界から見ると,「そんなものは大昔から求められている」「教師になる前に,教育心理の学習で必ず知ること」という反応が返ってくることでしょう。

 しかし,教師やコーチになってみると,そう簡単に「引き出す」ことはできないことに気づく。

 子どもや選手が育っていないという自覚がある人が,育てている周囲の教員やコーチを見ると,昔ながらの「ぐんぐん引っ張っている」人が成功している様子に戸惑ってしまう。

 「引っ張るコーチ」と「引き出すコーチ」の何が違うのか,という発想で考えていくのではなく,

 「育てることに成功しているコーチ」には何が共通しているのか,という発想で追究してみると,どのようなことが言えるのだろうか,と考えるヒントをこの本からもらえた気がします。

 巻末近くに,セルフコーチングの内容が紹介されていますが,その中の「自己の現状チェック」で示されている10個の「人生における重要領域項目」に注目してみました。

>・仕事 ・経済 ・環境 ・自分の内面 ・人間関係 ・学習 ・社会貢献&ボランティア ・趣味&楽しみ ・健康 ・ライフワーク etc

 とあります。

 自分の願望や挑戦したいことを具体的に書き出した後,これらの項目のどれにあたるかを分析してみる。

 そうすると,できそうなこと,難しそうなことがわかり,いつまでに何が実現できそうか,どうやったら実現できそうかを考えることができる・・・・

 「育てることに成功しているコーチ」は,方法が「引っ張る」にしても「引き出す」にしても,

 コーチ自身が多くの項目にチャレンジできる力,チャレンジしようとする意欲,チャレンジし続る力をもっているのではないでしょうか。

 学校教育の「意欲」は,どうしても「その場のやる気」から判断してしまいがちですが,大事なのは「意欲の継続性」です。

 どんなに意欲を持ってある時間に学習しても,1ヶ月後に何をしたかすら覚えていない,ではいけないのです。

 「血肉になっている」なんていう逃げ口上は無視しなければなりません。

 おそらく,「引き出す」努力だけではだめで,コーチが自分自身を「引っ張っている」という強力なロールモデルになっていないとダメなんだと思います。

 教師にも,それはきっと当てはまるはずです。

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