日本人の甘え (新潮新書)
曽野 綾子
新潮社
2016-09-15


 「ウ・トポス」=「どこにもない場所」という言葉から造られたのが,

 トマス・モアの「ユートピア」。

 「戦後」70年以上がたつ日本で生きている人にとって,「戦時」とは異常なものだが,

 世界では「平和」は決して当たり前のものではない。

 曽野さん(たち)がよく口にする,

>それ(平和)が簡単な心がけや呼びかけによってあり得ると思っている人と付き合うのも,実はかなり疲れることなのだ

 という感じ方は,

 「とにかく道徳の授業をやればいい」という言い方をする教師に対してもつ印象と同じである。

>しかし評論家として名前を売るためにも,テレビタレントとして重く用いられるためにも,時には・・・(中略)・・・とにかく人道主義や平和主義を,不自然なほど正面から打ち出さなねばならない,というのが最近の傾向らしいのである。これは一種の打算的処世術に過ぎないのだが,私は権威主義の臭気に弱いので,こうした人々が増えると,花粉症のようにくしゃみが出て仕方がない。

 花粉症もかかっている人でないとわからないつらさがあるだろう。

 「おもてなし」「思いやり」の心が「道徳」の授業で育つと考えている「甘ったれ」が教育現場に立つと,そこはきっと自分が最も「そこにいたくない」と思う「戦場」に見えるだろう。


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