アクティブ・ラーニングの評価がわかる! [ 西川 純 ]
アクティブ・ラーニングの評価がわかる! [ 西川 純 ]
 
 この本の良心的な点は,「こんな本を読まなくてもアクティブ・ラーニングの評価はできる」と書いてあることである。できたら表紙か帯に書いておいてほしかった。

 本の中に,アクティブ・ラーニングを実践しているという小学校教師の「授業記録?」が引用されている。

 空虚としか言いようがない。

 内容がないのは小学校だから仕方がないとしても,これが教育の「記録」だとしたら,

 小学生の日記の方がまだましだろう。

 かつて,教育を公に語る小学校教師たちは,豊かな「語彙」をもっていた。

 32字×31行の中でやけに目立つ言葉は,

 「素晴しい」「子どもたちの凄さ」「感激」「子ども達の力に脱帽」「子どもたちは有能だ」「感動した」というもの。

 親ばかの子育てブログのような文章である。

 こういう「評価」で子どもが伸び伸びしているだけで親も満足できるのは,せいぜい小学校低学年までだろう。

 残念なことに,題材から小学校6年生の課題であることがわかる。

 しかも,歴史の誤った理解を見過ごしている証拠まで示している。

 白紙に戻した後,中学校で学び直せる内容だから,致命傷にはならないのがせめてもの救いである。

 「深い理解」などを語れるレベルの話は何もない。

 そもそもそんなものを子どもや教師に期待していないことがひしひしと伝わってくる。

 筆者本人も,「深い学びができるのはクラスに何人いると思っているのか」

 と平気で開き直っている。

 「思考力・判断力」に該当するような話題が一切ない本が,よく「評価」などというタイトルをつけて出版できたものである。

 まさかこんな教育観が普及するとは思えないが,小学校教師向けなら見逃してもよいかもしれない。

 教育学部とか教職大学院というところでやっていることのレベルを知りたい人には,最適の1冊である。

 アクティブ・ラーニングで将来の結婚相手を見つける男女を交流を,なんていう主張を真面目にやっている人には,ぜひとも一度,どこかの中学校で管理職を経験してみてほしい。

 教育困難校や過疎地の現実を目の当たりにした身としては,いい加減な未来予測や脳天気な子ども観で現場を破壊される手前で食い止めてあげたい。


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