戦前に官官接待が必要だった理由がよくわかる部分を引用します。

>当時,軍で出世するために一番大事なことは何かと言うと,大蔵省から予算を取ってくることでした。とくに陸軍では,大蔵省主計局の官官接待に全力をあげていました。これで出世した官官接待の名手こそ東条英機であり,その直系である武藤章です。(中略)

 東条とは対照的に,髙橋是清蔵相に論破されて予算を取れなかったために失脚したのが荒木貞夫陸相でした。
 
 要するに,「軍部」が暴走したなどというのは嘘っぱちで,実は大蔵省のほうがはるかに権力を持っていたということです。

 しかし,戦後,絶対権力を持つ占領軍の目が光っているところで本当のことを言ったら目をつけられてしまいます。だから大蔵省は徹底的に陸軍を悪玉にし,「二・二六事件以後は軍部の言うことを聞くしかなかった」という歴史観を吹聴しました。「軍部」悪玉論の期限はここにもあります。


 「わかりやすい」悪役,悪玉は,歴史を理解するのにとても便利なので,小学校から高校まで,「軍部」という言葉が使われてみんな納得してしまっていますが,「軍部」は満州事変のころの「中国」と同じようなもの,と認識できるレベルになれば,「深い理解」と呼べるようになるのでしょう。

 中学校レベルでも,陸軍と海軍は予算の獲得競争を行っていたこと,戦争を想定した相手国が異なっていたことを学ぶことが可能です。

 お金を握っている大蔵省,現在の財務省と文部科学省との関係は,文科省と国立大学,私立大学との関係にも似ています。

 どういう人が出世できるのか,出世した後,どういう甘い汁が吸えるのか,道徳の教科書にでも記載したいような出来事が,新聞紙上で子どもでも読むことができます。

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