暗闘
山口 敬之
幻冬舎
2017-01-27


 『総理』に続く山さんの著書で私が注目したのは,去年11月のエコノミストの特集記事「世界のナショナリスト連盟」に掲載されている風刺画に,安倍総理の姿がなかった,ということ。

 なぜ日本のリーダーは,国益最優先のナショナリストたちと一緒に描かれなかったのか。

  2013年5月のエコノミストでは,ナショナリストの代表格として分類されていたらしい。

 山さんは,次のように述べている。

>2015年のアメリカ連邦議会での演説や2016年の真珠湾訪問を通じて,少しずつ安倍の「好戦的ナショナリスト」というレッテルが剥がれつつあるのかもしれない。

  同時に,次のような危惧もあるという。

>しかし,安倍にとってそれは諸刃の剣だ。自らの鉄板支持層であった保守層の安倍批判は政権が長期化するに連れて広がりを見せつつある。

 山さんは外交でのミスが許されない,としていたが,この本を書いている時点では,まさかK砲対応でまごつくとは思ってもみなかっただろう。

 今回のK砲炸裂のバックに,まさかその「鉄板支持層」が絡んだりはしていないだろうか。

 あるいは,「鉄板支持層」からの批判が高まってしまってはいないだろうか。

 私は今のところ,K砲炸裂は,「脇を固める効果」が出て,長期安定政権の基盤をさらに固めるきっかけになると見ており,支持率の動きから見ても,これが「致命傷」になることはないと思うが,安倍総理の言う「行政機関の信頼性」は,文科省を例に挙げるまでもなく,揺らいでいることも事実だろう。

 山さんには,K砲炸裂をきっかけに,ぜひ「教育」のあり方に関する問題にも切り込んでほしいと願っている。


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