道徳=「有難いお話や心に響くお話をもとにして,生きる価値を考える時間」なのでしょうが,
私にはどうしてもしっくりこない題材があった。
>年収3000万円の人や年収何億というアスリートたちは,本をたくさん読む。読書を習慣にしている。だから,本を読もう。
本をたくさん読んだから高額所得者になったのか,高額所得者になったから本をたくさん読むようになったのか,高額所得者になる前もなった後も,本をたくさん読んでいるのか,そういうことを考えさせても,こういう話が本を読まない子どもに本を読もうとする動機づけになるのかどうか。
「読書は考える力を伸ばしてくれます」という話は,子どもに「響く」のか?
本を読むようになったとして,それは「金持ちになるため」という動機からではないか?
どんなに卑しい動機でも,とにかく「本をたくさん読ませる」ためのしかけなのか?
道徳の授業では,考える力は伸ばせないのか?
読書の大切さを教師が語れるようにならなければならない,という主張をされているが,
この話が紹介できるようになったのは,『中学生にジーンと響く道徳話100選』を読んだから,なんていうことはバラせないことなのだろうな,と思った。
日本の道徳教育は,昔から「危険な匂い」の方が強くて,「次の戦争に突き進むための洗脳操作だ」というひどい極論が出てきてしまうのも仕方がないことかと考えている。
100万円を拾ったらどうするか?という題材の中で,「海外の番組で,外国(どこの国かはわからない)では拾った財布をすぐにバックに入れている様子が放映された。こういう映像を見せてあげてもよいだろう」などというコメントが入っているが,なぜ「外国」なのかというと,日本では「落とした財布が戻ってくることに感動する外国人」の話が宣伝されているからだろう。「日本でも,やはり財布は戻ってこなかった」という「落胆する外国人」の話など宣伝されないのである。
中学生のレベルが相当低く見られていることに,悲しくなった1冊だった。
教育問題・教育論 ブログランキングへ