ピンチに勝てる脳 (集英社文庫)
茂木 健一郎
集英社
2013-08-21


 受験のための勉強は,「いかにミスを少なくするか」にかかっていると言ってよいだろう。
 
 「間違いを書かない」「間違いを選ばない」ことが重要で,選択問題なら「正しいことは知らない」状態でも,「間違っているものはわかる」だけで,得点を得ることができる。

 こういう頭の働かせ方をしているから,能力が向上しないというのは,脳科学者でなくても,教員なら実感することができるはずである。
  
 茂木さんは,「日本の英語教育は,言語のオープン・エンド性に反している」などと主張し,厳しい批判を行っているが,すべて理にかなっている。脳科学者が英語教育の専門家としっかりタッグを組むことで,どうにか英語教育を変えることはできないだろうか。

>「オープン・エンド」とは,脳科学の言葉で,どんなに学んでも必ず次のステップが姿を現すので,どこまでいっても終わりがない状態のこと。つまり,一生懸命勉強をして何かを知れば知るほど,必ず次の疑問がわいてくるということ
 
 日本の英語教育は,学校で習得すべき単語数の目安を決めてしまっている。学ぶ内容を制約し,標準化することは,「オープン・エンド性」に反しているから,学ぶ意欲を失わせることになる。また,細かいカンマの位置やつづりのミスを見逃さない減点主義の教育も,問題である,と指摘している。

>今まで白紙で提出していた生徒が,曲がりなりにも解答欄を全部埋めたことを重視するような採点方法に変えるべき

 英語教師は納得できないだろう。デタラメを書けば点数をくれると考えた生徒が,いかにいい加減なことを書いてくるかと・・・。しかし,いい加減なことを表現しようとしているのか,そうでないかは,コミュニケーション能力があればわかるはずである。
 
 私は社会科を担当しているが,言葉足らずであることだけで減点はしない。解答欄に「?」マークをつけておき,返却のときに,必ず説明させて,理解しているかどうかを確かるようにしている。

 社会科もコミュニケーションを非常に大事にしたい教科であり,「オープン・エンド性」を高めたいという点で,社会科教育と英語教育の改善方法には共通した部分があると考えている。

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