AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
2018-02-02


 受験生の親たちの中には,どうしてこんなに充実した教材で学ばせられているのに,実力が伸びないのだろう,と頭をかしげている人が多いかもしれない。それは,子どもや教材のせいではなく,「人」のせいである。

 佐藤優氏のコラムで,アクティブ・ラーニングの「土台」となる「読解力」が話題とされている。
 
 国立情報学研究所の新井紀子教授の論は,「新しい学力低下証言」として注目を集めているが,「読解力がない大学生にはアクティブ・ラーニングは難しい」などということは,これまでも,大学のセンセイたちには実感をもって納得できることだろう。

 しかし,たとえ読解力がない大学生でも,あるいは,普通の中学生にも,アクティブ・ラーニングは可能である,という「体験」をしている教師は多いはずである。
 
 佐藤優氏は,新井教授や自身の体験を引きながら,「読解力をつけるには人間よる感化が大事」と主張する。

冤罪事件で刑事被告人とされた人も,弁護士や支援者に感化され高度な読解力を身に付けることができるようになったのである。

 学校で言えば,どういう教科書を読むかではなく,どういう教師に学ぶかですべてが決まると言って良い。「できる子どもたち」による感化を目指している人たちもいるが,それは教師の感化力に期待できない人間のすることだ。しかもそれが教員養成系の大学の大学院だというところが情けない。人を感化させられるのは,「育てたい力」を自らがもっている人だけだ。

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