テレビで顔が売れた東大史料編纂所の教授が,「東大教授」という肩書きで,『やばい日本史』を監修する時代が来るとは,予想もできなかった。故石井進先生はいつも大変穏やかな方だったが,さすがに眉をひそめる事態ではないかと思われる。

 ただ,大学生ですら,ほぼ「すごい」と「やばい」で「感想」が成立するような時代に必要な本とは何かを考えさせられる。また,「国を愛する心」を育てるために歴史上の人物の「優れた業績」「社会に果たした役割」ばかりに目を向けることで,歴史への興味や関心を育てられない小学校の教育が対極にある現状の課題も意識させられる。

 歴史に関する本というのは,基本的に「ネタ本」の情報の使い回しだけで成立する。

 漫画とセットで売り出す流れもそれなりの期間続いている。

 「すごい業績」ばかりでなく,「やばい実態」を知ることの方が,変化の激しい時代を生き抜く知恵を得られやすいのではないか,という錯覚も感じてしまう。

 しかし,「実はイケメンではない」とか「戦は強いがイケメンには弱い」とか「戦でビビってうんこをもらす」などいった「やばさ」を「売り」の対象にしている本を東大史料編纂所教授が監修していることは,「何かが終わった」「大切なものが失われた」象徴的な事象に見える。

 「すごい東大」も「やばい東大」で売っていく時代になっていくのだろうか。

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