この本を読もうとしたきっかけは,「世界各地で肉のタブーがある理由」を確認したかったからですが,あちこちつまみ食いしているうちに,「科学の面白さ」を子どもに分かってもらうためにも,小中学校ではこういう内容を授業で先生に話してもらいたい,と願うようになりました。内容によっては高校生くらいにふさわしいものもありますが,「人間とは何か」という問いへの答えを存分に提供してくれています。
著者はポーランド系カナダ人のサイエンス・ジャーナリストですが,人文社会系でいうと,大昔に読んだ本多勝一の著作を思い起こさせられました。
『栄養転換ステージ5へ』では,肉食の課題と今後の解決策が提案されています。
「肉のもつ多くの意味に気づく」ことから,気候変動対策に動ける「新しい人類」の一歩が始まる。
脳を発達させる代償として,腸を短くした人類。
栄養源を調理された肉から効率的に摂取できるようになり,さらに脳を発達させた人類。
TVコマーシャルでは,「肉食」の宣伝はあまり見られず,ダイエットが至上命題のように扱われていますが,町を歩くと新しいステーキハウスが次々にオープンしています。
日本でも徐々にプラスチック製ストローの提供を控える飲食店が増えていくかもしれませんが,地球環境対策にはアメリカと同様にトップダウンの力が弱いのが日本という国です。
江戸時代に注目が集まるタイミングで,何か行動転換へのきっかけができるとよいかもしれません(日本でも当時,犬の肉を食べる習慣はあったようですが・・・)。
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