戦争がつくった現代の食卓-軍と加工食品の知られざる関係
アナスタシア・マークス・デ・サルセド
白揚社
2017-07-04


 「食育」の幅を広げると,加工食品と素材から手作りで提供される食品のどちらをどういう風に選ぶか,という「判断」をせまられるところに来る。
 
ネイティック研究所は兵士の装備品や食糧の研究開発を行う施設である。戦時には極限状態に置かれる兵士にとって,体力を維持して士気を高めるために食事がもつ意味はとても大きい。栄養と味だけでなく,戦場という特殊な環境では輸送や保存にも特別な条件が求められる。そのため軍にとって食品の加工技術の研究が必須となり,その成果は兵士の食べ物にとどまらず,やがて市販用食品にも転用されるように・・・(訳者あとがきより)

 缶詰の起源を知っている人は多いだろうが,多くの加工食品と戦争の「縁」を細々と示されてしまうと,複雑な気持ちになる。

 ローマ帝国を築く基礎となったのが,乾燥ハム,ベーコン,ソーセージだった,という話にも興味を惹かれる。

 科学技術の博物館などで売られている「宇宙食」を口にしたことがある人も多いだろう。

 戦争は,多くの「産物」を残している。

 加工や包装のコストがかかっても,時間や食糧のムダを減らし,人々の生活に与えてくれるゆとりの価値は大きい。

 「正しい知識」を獲得することの重要性は,特に「食」に関するテーマなら説得力を得やすい。

 日本の「歴史教育」が,もっと幅のある,豊かなものになることを願っている。

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